子供のころ、パンをギュウギュウに押し潰して食べるのが好きだった。行儀が悪い自覚はあるうえ、「それの何がいいの?」と聞かれるとイマイチ返答に困る。だがしかし、うまく言えないけど、ペッタンコな食べ物には言い知れぬロマンがあるんだ。

そういったペッタンコ・ロマンが昨今の『ホットサンドメーカー』ブームの根底にあると密かに確信している次第なのだが……先日アキバの街を歩いていたところ、「ブームもついに最終局面か」と感じるメカを発見してしまったのでお知らせする。コレ、マジでスゴイんだから!

・こういうの真剣に欲しかった

近年キャンプブームも相まって、ホットサンドメーカー市場は各社がシノギを削っている。厚いの、薄いの、大きいのや小さいの……様々なタイプのホットサンドメーカーがあれど、基本は “外カリ中フワ” の王道スタイルだ。

そんな中にあって、株式会社 丸隆が販売する『# とりあえずつぶして焼いてみた』は「中身も外身も関係なくつぶして焼いちゃおう」という超ストロング・スタイル。まさに “ホットサンドメーカーの最終形態” と呼ぶにふさわしいメカなのだ。

……ま、要するに家庭用プレス機なのだが、驚くべきは3960円(この日の購入価格)という安さ。電源を入れてプレートを熱し、あとは腕の力で押すのみというシンプル設計がイイ。

使用する食材は基本何でもOK。まずは普通のハムサンドを焼いてみるか。


プレートにハムサンドを乗せてフタをしたら……



全力で押すべし!!!



ウググ……もう少し、もう少し…………



ハムサンド「プスッ」



ア、アーーーーーーッ!!!!


・ガチのヤツだった

なんと、具材のほとんどが勢いよく外へ飛び出てしまったではないか!

説明書には「具材を入れすぎたり、つぶしすぎるとすき間から出てくることがあります」とあるが、まさかこれほどのパワーを秘めていたとは。家庭用と侮るなかれ、こいつはガチンコのプレス・マシンだったのである。

ご覧ください、約3.5センチだったハムサンドが3ミリに!

具材の味はほぼ消滅しているものの、カチカチのパリパリで最高! もちろん「ただのカチカチのパンやん」と感じる方も多いと思うが、ペッタンコ・フェチにはたまらないものがある。

具材とサイズを小さめに作り直してみると……

超イイ感じのヤツが完成〜! プレス時間わずか10秒! 神だね!


・幼いころの夢をカタチに

さて……実は私には、かねてより「プレス機を手に入れたら絶対にプレスしたい」と願っていた食材がある。


そう……タコだ。


幼いころ “生のタコを鉄板でプレスして『タコせんべい』を作るおじさん” を見た衝撃は、昨日のことのように今も脳裏に焼き付いている。「いつの日か自分の手でタコせんべいを作る」という夢が、今まさに叶おうとしているのだ…………いざ!

あっ!? 何となく予想はしてたけどタコの端っこが飛び出してきた。気にせず押すのみ!


タコ「キュウゥゥゥゥ…………」


断末魔の正体はタコの水分。全て蒸発させなければ『せんべい』は完成しないワケで、コレはなかなかの長期戦になりそうだ。

まるで生きているかのようにズモモ……と動くタコの足。5分ほど格闘の末、ようやく動きが止まった。


結果は……



全部出てた。



気を取り直して、タコを薄くスライス。



頼む、今度こそ……!



ありゃ、消えた!? タコは極限までプレスすると消滅するのか!?!?



…………と、思ったらフタにくっついてました〜!



さぁご覧ください、この美しいタコせんべいを!!!!


タコのうまみを文字通りギュッと圧縮したせんべいがマズかろうはずもない。長年の夢だった私の挑戦は大成功のうちに幕を閉じたのでありました。ありがとう……ちょっと呼び名がムズいけど『# とりあえずつぶして焼いてみた』。

説明書によると、『エビ』『おにぎり』『肉まん』などがおすすめの具材として挙げられるらしい。可能性が無限大すぎるだろ『# とりあえずつぶして焼いてみた』。ブームが来るかどうかは不明だが、かつてパンをギュッと押し潰して食べてた層には熱烈な支持を受けるに違いないぞ!

参考リンク:株式会社丸隆「#とりあえずつぶして焼いてみた
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.