「車麩(くるまぶ)」をご存じだろうか。新潟県をはじめとした北陸地方や沖縄県で食べられている、ドーナツのような形をした巨大な麩(ふ)だ。
そのボリュームから「車麩のステーキ」「車麩の照り焼き」など、お肉のように主菜として食べられることも多いのだが……
車麩って、本当に肉料理の代替品になるんだろうか? いくら大きいからと言っても所詮は麩だし、やっぱり肉に比べると物足りなかったりするのでは?
気になったので、肉を使った代表的なメニューを車麩で再現してみることにした!
・焼肉
肉料理といえば……と考えた時に、真っ先に思い浮かんだのが焼肉だった。さっそく作ってみることにしよう。
まずは乾燥した車麩を水につけて戻し……
しっかり絞って水気を切ったら、油を引いたフライパンの上に乗せて……
いい感じに焼き目をつけて……
焼肉のタレをかけて完成! 焼いた麩にタレがかかっただけの超素朴なビジュアルだ。温かいうちに急いでかじってみると……
おいし……
焼かれた車麩の少し香ばしくなった風味とたれの甘味が絶妙にマッチして、ご飯が進む進む。事前に水をしっかり切っておいたおかげで、味噌汁に入っている麩のように水っぽくもない。
さすがに味は肉ほどパワフルではないけれど、食べ応えは肉と同じくらいかそれ以上と言っていいレベル!
「車麩のステーキがあるんだから、これはまあ外れないだろうな」と思っていたのだけど、案の定大成功だった。
・しゃぶしゃぶ
「焼き」が大成功だったので、今度は「茹で」で行ってみよう。そんなわけで、続いてはしゃぶしゃぶにチャレンジしてみることにした。こちらも肉料理の代表格だ。
沸騰したお湯に車麩をそのまま入れるだけで、あっという間に完成! 今回はポン酢でいただくことにした。
焼肉がおいしかったから、こっちも期待しちゃうなぁ。ワクワクしながら口の中に入れてみると……
うおおおお酸っぱァァアァ!???!??
ふかふかの麩がポン酢をこれでもかというほど吸収しており、咀嚼(そしゃく)するごとに口の中で酸の洪水が発生!
自分が今麩を食べているのか固形のポン酢を食べているのか分からないくらいの濃厚さだ。肉と同じような感覚でポン酢を多めにかけてしまったのが敗因だった。
ただ、味がまずいということではない。むしろ麩とポン酢の相性は抜群だったので、調味料の量にさえ気をつければこちらもおいしく味わえそう!
・ハンバーグ
最後はもう少し凝った料理・ハンバーグに挑戦! 本当に肉の代わりができるかどうか検証したいので、普通のハンバーグと全く同じ手順で作ってみることにした。
水で戻した車麩を……
よく練って細かくして……
卵と塩と片栗粉(パン粉代用)を入れてさらに練ったら……
丸く成形。麩は塩を入れても肉と同じようにくっついてくれるわけではないので、固めても固めてもすぐにボロボロと崩れてしまう。四苦八苦しながらなんとか形を作って……
そっとフライパンに乗せて焼き色をつけたら……
ケチャップをかけて完成!
成形する時に崩れまくった時はどうなることかと思ったが、加熱したら卵が固まってしっかり形をキープしてくれるようになった。つなぎって超大事ですね。
箸を入れてみると、どうやら練り方が甘かったようで少し切りにくい。もっと徹底的にすりつぶすくらいの勢いで細かくしておけばよかったな。
それでもなんとか切り分けて、口に運んでみると……
もちもちだ~!! 豆腐ハンバーグのような優しい味わいが、口いっぱいに広がった! ケチャップと麩って意外と合うんだなぁ。歯ごたえも肉で作ったハンバーグとそんなに変わらない。
筆者はガッツリしたものを食べると胃もたれを起こしてしまうことが多いのだが、油分の少ないこのハンバーグなら安心して食べることができそうだ。これはいいレシピを見つけてしまった。
・十分メインになれる
今までたくさん車麩を食べてきたけれど、正直こんなに主菜として優秀な食材だとは思っていなかった。どの料理も物足りないという言葉とは程遠い食べ応えと味わいで、十分肉の代わりになると言えるだろう。
また、車麩は乾燥した状態であればかなり日持ちする。一つ買っておけば、頼れる食材として大活躍してくれること間違いなしだ。
新潟県内なら大抵どこのスーパーにも置いてあるけれど、調べてみたところ県外でも業務スーパーで取り扱われていることがあるそうなので、気になる方は探してみてほしい。
「麩=脇役」という概念が覆る車麩、皆さんも是非口にしてみてはいかがだろうか!
執筆:うどん粉
Photo:RocketNews24.
▼これは車麩を使った沖縄料理「フーチャンプルー」。こちらも大変おいしかったです