サッカーW杯でクロアチアが注目を集めている最中だが、ちなみに私は今年の夏、人生初のクロアチア旅行を敢行したばかりである。首都ザグレブの中心部は驚くほどノドカな場所だった。この小さな国が世界ベスト4に残るなんて……スゲェや、マジで!

そんなクロアチアの名物といえば “なんか聞いたことあるけどよく分からない料理” として有名な『シュトゥルクリ』だ。さっそく地元をよく知るタクシーの運転手に「このへんで一番ウマいシュトゥルクリの店へ連れてって」とお願いしてみた結果、ちょっと意外な展開になったのでお伝えしよう。

・タクシーいない問題

ザグレブ市内では、基本的にタクシーの “流し” の概念は無いものと思ったほうがいいかもしれない。そもそも人の数が少ないため、タクシーの需要もそれほど多くないのである。

ウーバーなどの配車サービスを利用するテもあるが、それだと企画の趣旨から少しズレるんだよなぁ……私は通行人に道を尋ね、タクシー乗り場を目指すことにした。

こちらがザグレブ中心部のタクシー乗り場である。さっそく最前のタクシードライバーに、シュトゥルクリの件を伝えてみたところ……


「歩いて行けよ」と言われてしまった!!!!!


・好きです、クロアチア

見知らぬ外国で乗車拒否を食らうと、ショックより先に恐怖を感じるものである。私は足早にその場を立ち去ることにした。

すると……タクシーのお兄さんはおもむろに、自らのスマホ画面を指差したではないか。実はお兄さんに悪意は全く無く「車では行けない道だから、歩いて行きな」とアドバイスしてくれたワケなのだった。

親切に店までの徒歩ルートを教えてくれるお兄さん。クロアチアの人って、物静かだけど優しいなぁ!

さて教えられたとおりに進むと観光エリアにさしかかり、ザグレブでは滅多にお目にかかれない “人混み” が出現。

さらに飲食店が並ぶ小道を進むと……

お兄さんに教えられた店『La Struk』が見えてくる。


・シュトゥルクリの超名店

ドアを開けると、そこは10席ほどしかない小さな空間だ。

これ、実は長家風の作りになっていて、奥のほうにも席が続いているのである。正午を過ぎるとほぼ満席状態。確実に食べたい人はピーク時を避けるべきだろう。

メニューを見てもよく分からないので、シュトゥルクリは「一番高いヤツ」、ビールは「店員さんオススメのヤツ」を注文。「シュトゥルクリは少なくとも20分かかります」という注意書きがある。

ちなみに私がシュトゥルクリを食べるのは今日が初めて。ビールを飲みながら待つこと30分……

これがLa Strukで一番高いシュトゥルクリ『トリュフのシュトゥルクリ』(45クーナ / 約863円)だ! なんかラザニアみたいだな〜と思ったら、シュトゥルクリをラザニアの一種とする見方もあるのだそうな。

ジュージュー熱い鉄皿からトリュフの匂いがガンガン放たれ、いかにもおいしそうである。スプーンで豪快にすくいたいところだが、ナイフとフォークしか渡されなかったので現地のスタイルに従おう。クロアチアのタクシードライバーがイチオシするシュトゥルクリ……いただきま〜す!


え!?


豆腐!!!?


・濃厚な豆腐

てっきり『サイゼのミラノ風ドリア』みたいな味かと思いきや……初めて食べるシュトゥルクリは、意外にも「極限まで水分を抜いた木綿豆腐とウドン」に酷似していたのだった。

シュトゥルクリの基本形は小麦粉を練った生地にカッテージチーズ等を重ねたもの。想像以上にシンプルな食べ物であり、味の変化が全然ない。ずっと食べ続けると少し辛くなってくる……!

ただし黒トリュフの風味がメチャクチャ濃厚で、大変おいしい食べ物であることは確かだ。見た目より量が多いため、多くの客が完食できずにいる様子である。初心者は複数人でシェアするか、無理せず残すのが賢明だろう。

なおシュトゥルクリ・パワーでW杯を勝ち進んだクロアチアは、今週末(日本時間の18日0時スタート)の3位決定戦でモロッコと対戦する予定だ。あの時のタクシーのお兄さんも、きっと試合を楽しみにしているんだろうな〜! がんばれ、クロアチア!

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
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