日本を出て東南アジア、そこからヨーロッパを周遊する旅へ出かけて早2カ月半。名残り惜しいが帰国の日が近づいてきている……ということは、そろそろお世話になっている上司への “お土産選び” をせにゃならん時期だ。

私がこのとき滞在していたのはクロアチア。なお、お世話になっている上司とは当サイトの佐藤記者である。3年前はドイツ土産に世界に一つのニベア缶を作成したのだが、はて今回はどうしよう? クロアチア名物って何だっけ? さっそく調べてみたところ……何っ!?


「クロアチアはネクタイ発祥の地」だってェェ!!!?


・ネクタイを選びたい

聞くところによれば、クロアチア人男性はかつて戦地へ赴く際、お守りとして首にスカーフを巻いたのだそう。それが今あるネクタイの起源になった……ってマジか。ネクタイといえばプレゼントの代表格である。こうなったらネクタイを買って帰る以外に術はない。

しかしながら、冷静に考えてみると当サイトは服装自由。佐藤さんはおろか、これまで誰一人のネクタイ姿も見たことはないが……ま、なんとかなるでしょう!

ホテルの人に尋ねたところ、クロアチアでネクタイといえば『CROATA(クロアタ)』という老舗ブランドが最高峰なのだそうな。首都・ザグレブ中心部の荘厳なビル内を進むと……

ド中央にあるのがクロアタ本店だ! なんかスゲェ高級そうな雰囲気!

一瞬ドレスコードの不安が頭をよぎったが、幸いTシャツGパン姿でも入店を拒まれることはなかった。あまりラフすぎる格好での入店は避けたほうがいいかもしれない。

ネクタイゾーン、スカーフゾーンに分かれた店内は老舗の伝統を感じさせる……おっ!? この赤いネクタイ、佐藤さんに似合いそうじゃない!?


ゲェーーッ!!!!! 5万円もする!!!!!!!


・その手があったか

世界的有名ブランドのネクタイだもの、そりゃ5万円も妥当な金額である。ネクタイに5万……出せなくはないが、そうなると「上司への旅行土産」というより「彼氏への誕生日プレゼント」に近くなってしまうんだよな。さすがの佐藤さんも気を遣うかもしれないし……。

などとモジモジしていると、優しい店員さんが「お困りですか?」と声をかけてくだすった。ワケを話せば……

なんと! 親切にも『蝶ネクタイ』をススメてくれたぞ!


蝶ネクタイ(ボウタイ)の価格はピンキリ。2〜3万円するものもあるが、安いものだと5000円台で購入できるようだ。それならギリ許容範囲内である!

おまけにウチの佐藤さん、あれでなかなか派手好きなところがあるからな〜。うんうん、だんだん蝶ネクタイのほうがイメージと合う気がしてきたぞ。

そこで私は佐藤さんの顔写真を示し「ウチのボスに似合うネクタイをチョイスしてほしい」とお願いしてみた。「もちろんOKよ。彼の好きな色は?」と店員さん。あ……そういえば佐藤さん、何色が好きなんだろう? こんな時って普段のコミュニケーション度合いが試されるよなァ。

「彼はビビッド(鮮やか)な色が好きだと思う」と私。店員さんが選んでくれたのは……

うわァ〜! ビビッドな赤い蝶ネクタイ! 先ほどは真っ赤なネクタイを「佐藤さんに似合いそう」と感じたが、蝶ネクタイとなると不思議とマジシャンか漫才師を連想してしまう。

「もう少し地味かつ彼に似合いそうなヤツを」と私。たくさんありすぎて何がいいのか分からなくなってくる。

真剣に悩んでくださる店員さんと偶然居合わせたマダム。そして10分後……

こちらのワインレッドの蝶ネクタイに決定しました〜! 派手すぎず地味すぎず、いい塩梅なのではないでしょうか!

価格は300クーナ(約5459円)。 “ただの上司” には高価だが、 “世話になっている上司” への土産としてはちょうどいい金額だ。親切な店員さん、本当にありがとうございました!


・そして帰国後……

帰国した私は、さっそく佐藤さんにお土産を手渡した。

「お、ありがとう」なんて言ってるが、おおかたチョコレートか何かだとお思いなのだろう。

果たして我が上司・佐藤さんは蝶ネクタイを喜んでくれるタイプなのだろうか? 一説によれば日本人男性の半数は、一度も蝶ネクタイを着用せぬまま生涯を閉じるのだという。佐藤さんは……どっちだ? 緊張の瞬間…………



あっ!!!!!! これは喜んでる顔!!!!!!!!



そしておもむろに……



その場で着用してくれちゃった佐藤さん!!!!


なんてカワイイ上司なんでしょう!!!!!


「これ、いいじゃん」と何度も繰り返されるばかりか、「今度ポールダンス(※)の衣装に使うよ」と嬉しいことを言ってくださる佐藤先輩。なんてプレゼントし甲斐のある上司なんだ……こんなに喜んでくれるならもっと奮発すればよかったぜ!

( ※ 佐藤記者はポールおじさんとしても活躍中)


旅先で土産を選び、持ち帰る作業は割と労力を要する。しかし贈った相手が喜ぶ顔を見た瞬間、そんな苦労は消し飛ぶようにできているのだ。みんなも旅行へ出かけたら、その土地ならではのお土産を探してみてほしい! ついでに上司の評価も上がるぞ……フフフ。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.