「自宅ラーメン」の波が来ている。昨今の情勢を受け、デリバリーやテイクアウトを導入し始めるラーメン店がにわかに増えているのだ。この世で好きなものの上位に「ラーメン」と「自宅」が入っている筆者としては、なんとも望ましい限りである。

さておき、今回ご紹介したいのは、2020年5月14日よりUber Eatsでの配達を開始した有名ラーメンチェーン「蒙古(もうこ)タンメン中本」だ。オリジナルの激辛ラーメンで人気を博した同店だが、まだその味に触れたことのなかった筆者は、早速デリバリーを頼んでみることにした。

「蒙古タンメン中本」は、東京を中心とした関東エリアに展開しており、公式HPによればデリバリーはそのうち21店舗で導入されている。いわゆる関東ローカルだが、「中本」ブランドのカップラーメンなどは全国販売されているため、その名を知っている方も多いだろう。

筆者も例に漏れず知っていたし、なんなら気になってさえいたものの、「蒙古」にも「タンメン」にも馴染みがなかったので及び腰だった。しかし向こうから現場の味を届けてくれるというのであれば、これを利用しない手はない。

Uber Eatsの注文サイトを見て、最も王道とおぼしき「蒙古タンメン(1270円)」を注文。茹で麺と生麺の2タイプがあったが、「茹でられた状態で届いても美味しいのか」を検証するため、そして楽をするために茹で麺を選んだ。

ほどなくして商品が到着したので、準備に取り掛かる。カップの蓋を開けると、中身は麺とスープの2層に分かれていた。

付属の説明書きを読むに、蓋と中皿を外し、スープに麺を投入してレンジすればいいようだ。500Wで3分と書いてある。それ以上は容器の破損につながる可能性があるとのこと。

説明通りに温めたのち、麺をほぐして完成だ。みるみるうちに食欲をそそる香りが立ち込めてきた。

スープの色は赤身を帯びていて、確かに辛そうである。ちなみに筆者の辛さへの耐性に関して言うなら、小学生の頃に修学旅行先の夕食で出たカレーに対し「この程度の辛さでは満足できない」と生意気風を吹かしたことがある。わかりやすく言えば人並みより少し上程度だ。

目の前のラーメンは、そんな自分にいかなる体験をもたらしてくれるのか。まずはスープを飲んでみると、パンチのある辛味が口の中に広がった。喉の奥辺りがひりついて、舌先が若干痺れに見舞われる。

とはいえ、耐えられない辛さではない。胃の中が燃えるように熱いとか、そこまでの苦しみも感じない。むしろ10秒から20秒もすればスッと辛さが引いていく。その辛さを追いかけるように、2口、3口とレンゲが進む。

美味しい。しかし美味しさの秘訣は辛さだけではない。スープに続いて麺をすすった瞬間に、そう確信した。辛味の奥にある旨味が、スープに溶け込んだコクが、つるりと歯触りの良い中太麺に絡んでいる。

公式HPに「辛うまラーメン」という文言が謳われているが、まさにそれだ。看板に偽りがなさ過ぎて光り輝いて見えるし、その看板で頭を押さえつけられて膝をつかされているような心地だ。味の力に屈服するほかない。それでいて快いのだ。

スープを飲むごとに、麺をすするごとに、首の裏がじんわり汗ばんでくる。次第に額からしずくが垂れてくる。それでも箸とレンゲは止まらない。美味しいからだ。辛くて、旨いからだ。

結論としては、大勢の中毒者を生んでいるのにも頷けるクオリティをデリバリーでも味わうことができたと言える。未体験の方にはぜひとも挑んでみてほしい。辛い食べ物が苦手な方は、辛さが控えめとされている「味噌タンメン」から始めてみるのもいいだろう。

今となっては、ラーメンというより「蒙古タンメン」という独立したジャンルの境地を見た気分だ。この世で好きなものが、また1つ増えた1日だった。

参照元:「蒙古タンメン中本」公式HP
Report:西本大紀
Photo:Rocketnews24.