11月8日は11月の満月の夜。ネイティブアメリカンによる呼称はビーバームーン。由来は、ビーバーたちが越冬の準備を完了し、巣に引きこもりはじめるシーズンだから。

彼らの巣は非常に優れた造りをしている。全ての入口を水面下に設けてセキュリティを確保し、表面を泥などで固めることで冷気を遮断。さらに……いや、ビーバーの話は来年のビーバームーンまで取っておこう。

今夜のメインは皆既月食だ! 同時に進行する天王星食も見逃せない。ということで今回は月食関連の詳細と、あなたの家の近所で月食を見るためのベストプレイスを見つける方法をお伝えするぞ!!

・月食

まずは皆既月食の諸情報から。国立天文台によると、今夜の月食のスケジュールは以下の通り。


18時09分:部分食の始まり
19時16分:皆既食の始まり
19時59分:食の最大
20時42分:皆既食の終わり
21時49分:部分食の終わり


「部分食」や「皆既食」についても解説しよう。まず、月食とは太陽、地球、そして月が一直線に並んだ時に、月が地球の影に隠れて欠ける現象のこと。地球の影には半影本影の2種類がある。今回の皆既月食は、本影に月全体が入り込む現象を指す。


上記のスケジュールにある「部分食」は、月の一部だけが本影に入った状態のことだ。要は、今夜は18時09分から満月がどんどん欠けていくということ。

そして19時16分に全体が影で覆われる「皆既食」に突入し、19時59分に最も赤黒くなる。そして20時42分から21時49分までかけて、再び月は満月に戻っていくぞ。


・赤黒い

ちょ、待てよ。「赤黒くなる」って何だよ! 満月が真っ暗になるんじゃねぇのかぁぁぁぁああああああッ!!!! 


ここまで読んで、そう思った方もいるかもしれない。実は皆既月食中の月は真っ暗にならない。その時々の地球の大気の状態にもよるが、だいたいオレンジ~赤黒くなる。どういうことか?

太陽光は地球に遮られて弱まりつつも、それなりに月に到達する。しかし地球の大気の影響で短い波長の光(青)は拡散され、月に到達するのは波長の長い赤い光に。その結果、地球から見るとオレンジ~赤黒い色をした月がぼんやりと空に浮かんでいるように見えるのだ!


・天王星食

ちなみに今回は天王星食も同時に観測できる。今夜は月の左側(時計で言うと8時~9時の位置)、もうほぼ月に隠れるかどうかというエリアに超微小なサイズで天王星が輝いている

これが、東京だと皆既食の終わる直前の20時41分ごろから月の裏側に入って見えなくなるのだ。月食の時間は全国で一律だが、天王星食が始まる時間は観測場所の経度によって異なる。西に行くほど早くなり、東に行くほど遅くなるぞ! 

月食よりも観測のハードルは高く、肉眼では無理かもしれない。双眼鏡や天体望遠鏡をお持ちの方は頑張って探してみてくれ。


・アプリ

最後に、家の近くで良い観測スポットを見つける方法を紹介しよう。それはスマホの太陽や月の位置をシミュレーションするアプリを使う事。

私のお勧めは「Sun Surveyor」。月や日の出の撮影をする方にとっては定番の良アプリだ。有料版もあるが、無料版で十分だろう。使い方もシンプル。スマホが扱えるなら、フィーリングで何とかなると思う。

「Sun Surveyor」はスマホのカメラ越しの光景に、任意の日時の月や太陽の位置を重ねて表示することができる。試しに昨夜の23時に、その時間の実際の月の位置とアプリが予測した月の位置を並べて表示したのが下の画像の左半分。


この通りGPSの精度等の問題か若干ズレるが、まあ十分だ。任意の日時における月の位置をシミュレーションできるので、月食中の月がどの程度の高さになるのか事前にチェックしてみると良いぞ!

私も家の近所の空き地で試してみた(画像右半分)が、食が最大になる時間にはそこそこ高い位置まで登っているのがわかる。30メートルほど先の2階建ての家屋の3倍~4倍くらいの高さだ。

東京においては、よっぽど周囲全てを高い建物に囲まれてでもいない限り、たとえ住宅街であろうとその辺でいくらでも観測スポットを見つけられると思う。

また、このアプリはGoogleMapのストリートビューに、月や太陽の軌道を重ねて表示することもできる。


Googleの撮影車両が入り込んでさえすれば、現地に行かずに任意の場所での月の見え方を把握することが可能だ。ぜひ活用して、今夜の皆既月食(天王星食も)を楽しんでみてくれ!

参考リンク:国立天文台
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:Sun Surbayor(Android)