「平成最後の夏」──誰が言い出したか、このやたらとノスタルジックなパワーワードにやられ、特に意味もなく空を見上げたりしているのはきっと記者だけじゃないだろう。ここで、明日の早朝におあつらえ向きな天体イベントが発生することをお伝えしたい!

それは皆既月食だ。そして、日本で見られる物としては今回が平成最後。ただし皆既食が始まるのは午前4時半ごろ……寝たら絶対に起きられないが、幸い明日は週末で休み! 今夜はオールで平成最後の月食観測するしかねぇッ!!

・ただし観測は困難

とまぁ、ハイテンションで始まった本記事。いきなり残念なお知らせがある。まずは天気の問題だ。

ご存知の通り28日から29日の上陸予定に向けて台風が着々と接近中なこともあり、太平洋側は今夜から週末にかけ、ほとんどのエリアで曇りだったり雨の可能性が指摘されている。雲の切れ間から見える確率が無いわけでもないが……完全に運である。

・時間も問題

もう1つは時間の問題。開始が午前4時半という早朝……ということではなく、月食の進行と、月の入りに関する時間である。

国立天文台によると、本日の東京での月の入りは午前4時47分。ってオイ、始まった途端に終了じゃねえか!! なお東京よりも東に位置し、月の入りも午前4時という根室だと始まる前に終了という容赦の無さ。

もっとも、この午前4時半開始というのは皆既食(月が全て地球の影に入った状態)の始まりで、部分食(端のほうからちょっとずつ隠れていく状態)は午前3時半ごろ開始とされている。天気がなんとかなれば、月食自体は日本全国で観測可能だ。

・高さも厳しい

最後にもう一つ……高さの問題がある。皆既食の開始と月の入りが近いということはつまり、月食中の月が地平線ギリギリであることを意味している。

たとえ天候と時間をなんとかしても、周囲に視界をさえぎるものが無く、地平線や水平線が見える開けた場所でなければ見ることはできないだろう。何てこった……平成最後の皆既月食は滅茶苦茶ハードモードだぜ。

・日本海側なら多分見れる! 九州、沖縄はもっと有利

ということで関東住まいの記者の心は既に折れた。しかし日本海側や、特に九州と沖縄にお住まいの方なら話は別だ。

今夜の天気予報を見る限りだと、日本全国で日本海側は大体晴れとなっている。そして東北や北海道を除けば、日本海側というだけで、ほとんどが東京より西……つまり、月の入りが遅いのである!

月食の進行に関するタイムスケジュールは日本全国で一律だが、西に行けば行くほど月の入りだけが遅くなるため、今回に関してはメリットしかない。

例えば九州北部なら大体が今夜の天気は晴れ! 月の入りは午前5時半で、さらに日の出も午前5時半!! 高いところに登って全天球カメラなどを使えば、皆既月食と朝焼け空のコラボを見ることもできるかもしれない!!! (明るくなりすぎると、皆既食の赤い月を見るのは難しいからタイミングは気をつけてね)

・次は3年後

折角の平成最後の皆既月食だが、見られる地域は限られそうだ。平成とか抜きにしても次に見られるのは3年後の5月26日で、東のかなり低い場所で20分程度で終わるためシビア。

条件の良い場所に住んでる方は、折角だし今日くらいは完徹もアリだろう。「平成最後の夏、僕たちは皆既月食を見た」とか夏の青春ものロードショーっぽくてイイじゃない。

参照元:毎日新聞、国立天文台(12)、ウェザーニュース 、Twitter @wni_jp(12
執筆:江川資具
Photo:RocketNews24.

▼このマップだと北海道も見られそうだけど、北海道は部分月食でフィニッシュ

▼福岡は今回、約束された勝利の地になる模様