今の時代、焼きそばに何かしらの味がついていることは珍しくなくなった。ペヤングを筆頭にいろんな種類があるため何が出てきても驚くことはないのだが、実を言うといまだ打ち上げに成功していない味が存在する。ズバリ「たこ焼き味」である。

ペヤングはもちろん、明星の「一平ちゃん」といったビッグネームが過去に挑戦するも、どうしてもただの焼きそばになってしまった経緯があるのだ。しかし、どうやら明星は諦めが悪いらしく、2022年6月20日より「築地銀だこ監修 たこ焼味焼そば」を発売している。

・築地銀だこ監修 たこ焼味焼そば(希望小売価格・税別214円)

ま〜た、たこ焼き味という名の単なる焼きそばが世に放たれたのかと思うところだが、今回ばかりは期待してもいいのかもしれない。何しろ、監修がたこ焼き界の重鎮・築地銀だこ。たこ焼き味を再現する新種のウエポンが入っているに違いない。

明星も明星で同じ轍は踏まないはず。ちなみに明星のHPには、商品の説明に以下のような文言が書いてあった。


「カリッと食感の揚げ玉と甘く香ばしいソースで、まるでたこ焼!? のおいしさ!」


「!?」という保険をかけた感が拭えないが、とにかく食べてみるとしよう。たこ焼き味がただの焼きそばになる歴史は繰り返されているのか、はたまた新時代の幕開けか──。

・いざ実食

作り方は普通のカップ麺と同じく簡単。熱湯を注いで4分、湯切りしてから液体ソースとふりかけをかけたらOKである。調味料的な袋は2つのみで、たこ焼きへと近づける魔法の粉みたいなものは入ってなかった。

より味を正確にジャッジするため、今回は再現元である「ぜったいうまい!! たこ焼」も用意。一瞬で味の違いを感じ取れる環境で食べ比べてみることにした。

匂いはなんてことない焼きそばで、これと言ってたこ焼きの感じはしない。まぁそれもそうだ、たこ焼きも焼きそばもソースがメインなのだから。ただ、問題は味である。わずかなたこ焼きの気配も見逃さないよう、精神統一して焼きそばを食べてみると……!

こ、これは……



_人人人人人人人人人人人_
> た だ の 焼 き そ ば <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^ ̄


誰がどう食べても焼きそばだと思う味。おそらく、これがたこ焼き味だと即答できる人はいないのではないだろうか。それほどまでに脳が焼きそばだと認識してしまう。念のため、たこ焼きと焼きそばを交互に食べるもたこ焼きはたこ焼き、焼きそばは焼きそばで壁を突破することはできなかった(※あくまで個人の感想です)。

そもそもたこ焼きはソースとマヨネーズをつけることに加え、外パリッ&中はトロッとしているのが最大の特徴。そこにタコが入っていることで「たこ焼き」として認識されているのだ。


……って、ハッ……!!!!


・タコを焼きそばに移植

焼きそばにタコ要素をもっと加えたら、たこ焼き味に近づけるのかもしれない。ということで、銀だこのたこ焼きからタコを摘出する緊急オペ。それをそのまま焼きそばへと移植してみた。

これなら正真正銘、たこ焼き味の焼きそばになるはず。そしたら……!!


うむ、タコの味もする焼きそばにはなった(当たり前)


なんだか一歩進んで二歩下がったような感覚である。もはやたこ焼き味の焼きそばは無理ゲーなんじゃないか。そんな疑惑も出てきたため、こうなったらたこ焼きそのものを焼きそばに入れてみよう。同じ炭水化物で新しい世界が見えるかもしれないし。

てなワケで焼きそばにたこ焼きをぶち込んだ完成形がこちら。見た目から炭水化物の爆弾みたいになってしまったが……これがなかなかどうしてウマかったから世の中わからないものである。カロリーの分だけ味は上々。もういっそのこと「たこ焼きそば」というジャンルで売り出してもいいのではないか……?

・完全なるたこ焼き味はいつになるのか

そうとも思ったが、焼きそばのたこ焼き味はカップ麺界の悲願であり飽くなき挑戦の対象なのかもしれない。誰も完璧な「たこ焼き味」を再現していないのならば自分が……的な。私は勝手にそのような妄想をしている。

ともあれ、「たこ焼味焼そば」はカップ焼きそばとして普通にウマいのでたこ焼き味を求めずに食べるのもオススメだ。もし本物のたこ焼きと同時に食べるならばカロリーは覚悟の上で。ジャンクなものを食べたい気分のときなどにどうぞ。

参考リンク:明星食品
執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.