今月も満月の夜がやってきたぞ! 国立天文台の暦象年表によれば、2022年6月の月が満ちるのは、14日の20時52分。ネイティブアメリカンによる呼称は「ストロベリームーン」。

名前のキャッチーな雰囲気からか、ピンクムーンやフラワームーンと並び、人気の高い満月の一つだ。しかし日本列島は絶賛梅雨真っ只中。見ることのできるエリアはあるのだろうか? 各種関連情報をまるっとお届けするぞ!

・売ってねぇよ

北米最古の暦系メディア Old farmer’s almanac によると、6月の満月をストロベリームーンと呼んでいたのは、ネイティブアメリカンの中でかつては最大級の人口を誇っていたアルゴンキン族など。

理由は6月にイチゴが収穫シーズンを迎えるからだ……と、毎年ストロベリームーンの記事で書いてきたが、つい先日知り合いの子供から「でもイチゴ売ってねぇよ」と言われてしまった筆者。

言われてみれば、確かに今の時期、スーパー等でイチゴを見ることはめったにない。ネットだと年中ゲットできるが、6月に店頭でプッシュされているのはメロンやスイカ。イチゴは冬から春辺りで終わった感がある

これは盲点だった。もはや実生活において、イチゴ=初夏というイメージは消え去って久しいのかもしれない。ということで、あらためてその辺りについて説明しよう。

実はイチゴは、本来であれば初夏辺りに実が食べごろになる植物。現に、自然に近い状態で栽培する「露地栽培」のイチゴは、ちょうど今頃に収穫期を迎える。

何なら試しに、「露地栽培 イチゴ」等でググってみると良いだろう。もはや少数派となってしまったが、露地栽培のイチゴ農家では、今くらいの時期からイチゴ狩りのシーズン到来を謳(うた)っていたりするぞ。

では冬から全力を出しまくっている、世の大半のイチゴはなんなのか? あれらはビニールハウスで栽培したものだ。その方が季節を問わず収穫できたり、より甘いイチゴに仕上げることができたりとメリットも多く、今ではすっかり主流の栽培方法となった。

Wikipediaによると、ビニールハウスは1955年から実用化されたらしい。イチゴ=初夏というのを実生活の中で知る経験は、戦前から戦後間もなく生まれた者が家庭内に当たり前に存命だった時代と共に、徐々に過去のものとなっていったのではなかろうか。

近年人気のネイティブアメリカンによる満月の呼称。人気の理由は恐らく映えそうな感じだからとか、そういう軽い感じだとは思うが、ここにきて現代人が忘れつつある作物本来の収穫期を再認識する “しるべ” として機能しそうなのは、ちょっと面白い気がする。


・天気は?

図らずも、月ではなくイチゴについての情報が9割の記事になってしまったが、まあストロベリームーンだし? とりあえず最後に全国の天気をチェックして終わろう。

気象庁によると、14日で晴れの予報が出ているのは……ほぼ東北と北海道のみ! あとは宮古島や八重山、小笠原などの島々だ。栃木以北から沖縄本島までは見事に雨の予報! 


ということで、ストロベリームーンをエンジョイできる地域は、かなり北に偏っている。おや? 奇しくもイチゴの露地栽培が多く残っているエリアと被っているではないか。せっかくなので、その辺のエリアにお住まいの方は、旬のイチゴを食べつつお月見してみてはいかがだろう。

参考リンク:国立天文台Old farmer’s almanacWikipedia気象庁
執筆&Photo:江川資具
ScreenShot:気象庁