俺たちの心のとんかつチェーン「かつや」が昨日2022年5月12日、『大人様ランチ』という名の新商品を期間限定で発売した。なんでも「かつや」曰く、大人のためのお子様ランチとのこと。この時点で勝利を確信した “かつや者” は私(あひるねこ)だけではあるまい。

で、さっそく昨日食べてきたのだが、結論から申し上げると……これは「かつや」最高傑作の可能性がありますね。と言っても、ただウマいとかコスパが良いとか、そういった単純な話ではない。その理由をこれから説明する。

・かつや新商品

発表されるや否や、ネット上で大きな話題になった「かつや」の『大人様ランチ(税込759円)』。その要因の一つが、“大人のためのお子様ランチ” という何とも心躍るコンセプトにあることは言うまでもないだろう。

ただよく考えたら、これまでも十分 “大人のお子様ランチ” ではあった。“大人のためのアホなお子様ランチ” とでも言おうか。じゃあいつもと変わらんやんけ! と思いきや、さすが俺たちの「かつや」だ。今回も見事に仕上げまくってくれたぞ。さあ刮目せよ!


全大人待望の『大人様ランチ』が……


これだ!!

・見た目最強

いかがだろうか? 「子供を喜ばせることをトッププライオリティに進化したらこうなりました」とでも言いたげな、この完璧なルックス。36歳だけどこういうのが食べたかった。まるでお子様ランチの旗のように天高く伸びるエビフライと……


その裏に広がるオムカレーの海。

メインポジションに鎮座するチキンカツを目にした時、私は『大人様ランチ』の真髄に触れたような気がした。見よ! このタルタルソースの量を!! 普通、お子様ランチに付いてくるタルタルなんてものは、せいぜいがエビフライ一口分であろう。

それがどうだ。もはやどちらが主役なのかすらもよく分からない。俺はカツを食っているのか? タルタルを食っているのか? どっちなんだ! これぞ大人にのみ許されしタルタルの大人がけ。俺たちの「かつや」ならではの粋な計らいである。ところが……


次の瞬間、私は自分の目を疑うことになる。ちょ、ちょっと待ってくれ! このウインナー、ただのウインナーかと思って油断していたが、よく見るとまさかの……


カラッと揚げられてやがる……!

・なぜ揚げた

おい嘘やろ! 何でウインナーも揚げるんだよ!! ウインナーはそっとしとけよ! どうやら「かつや」は、揚げられるものは全て揚げないと気が済まないらしい。仮面ライダーの雑魚怪人かお前は。何なんだそのファニーな習性は。


ブレることのない「かつや」の姿勢には改めて感服するしかないが、こうなるといよいよお子様ランチに命(タマ)を取られかねないだろう。一番アッサリしているのがオムカレーって戦力バランスどうなっとんねん。これは本当に大人が食べていいものなのか?

しかし! 俺たちの「かつや」は、ちゃんとそこまで計算してくれていた模様だ。その答えはオムカレーの横端、タルタルチキンカツの奥にあった。そう……


キャベツの存在である。

・清涼剤すぎる

思えば、皿が運ばれてきた時から違和感はあった。あのねぇ、普通はお子様ランチにこんなに千切りキャベツは入らんのよ。キャベツでお子様は喜ばへんのよ。なるほど、やけに多いような気がしていたが、我々大人の胃袋のためだったのか。

いくらお子様ランチが食べたくても、見た目は大人、頭脳も大人という無風コナン状態な我々にとって、「かつや」のこういった細かい気遣いは非常にありがたい。まあ、だったらウインナー揚げんなやという話ではあるのだが、おかげで最後までおいしく食べられたのだった。


店内では男性客の多くが『大人様ランチ』を注文している。30歳前後と思わしきサラリーマンから、白髪のおじいちゃんまで年齢は様々だが、皆かつて少年だったという意味では共通しており、そこにはある種の連帯意識が存在していたように思う。

大人がけされたタルタルソース、胃を休めるための千切りキャベツ、なのに揚げてあるウィンナー。『大人様ランチ』は、こうした「かつや」の真骨頂とでも呼ぶべきチグハグさが一皿の中で爆発した、まさしく集大成的なメニューだ。

・旅の果てに

これまでの数々の意味不明な暴走行為も、全てはここに辿り着くための過程だったと考えれば納得がいく。そして、それを当然の如く受け止める訓練された “かつや者” たち……。美しい。冒頭で私が最高傑作と書いたのは、こういった理由からである。


この日は仕事があったためお茶だけで我慢したが、テイクアウトして(税込745円)ビールと一緒にキメるのもいいかもしれない。そう、お子様ランチだろうと『大人様ランチ』だろうと、食べ方は自由だ。だって我々はもう大人なのだから──。

参考リンク:かつや
執筆:かつや者・あひるねこ
Photo:RocketNews24.

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