ヨーロッパを旅したときのこと。大きめのスーパーへ行くと、客がみなカートにスマホのようなものを装着している。どうやら買い物しながら商品のバーコードを読み取っているらしく、レジに並ばずとも会計が完了するという仕組みだ。スゴイ! 私もやってみたい!

しかし利用登録には「現地の住所が必要」等のハードルがあり、私はあえなく断念。そして帰国後……なんと! イオンでほぼ同じシステムが導入されているのを発見した。さっそく利用してみたところ、これがあまりにも最高すぎる! 一体なぜ日本ではあまり知られていないのだろう?

・知らなかった『レジゴー』

イオンのスマホ決済システム『レジゴー』は、全国の一部イオン、マックスバリュ、ダイエーなどで2019年5月から導入されたサービス。事前登録は一切なしで利用できるのだという。

まず店頭に置かれた端末を勝手に取る。

あとは『スタート』ボタンを押せば買い物スタートだ。

イオンのショッピングカートは端末を固定できる作りになっていて、なんかうまく言えないけどワクワクする。

商品を選んだらその場でバーコードをスキャン。

すると商品の情報や金額が端末にストックされるのだ。もちろん商品を選び切った後、まとめてスキャンしてもOK。

バーコードのない商品もワンタッチで選択可能。

レジゴーの専用レジへ進み……

支払いコード(QRコード)を端末で読み込む。あとは好みの方法で支払いすれば、それで買い物完了というワケだ。「本当にこれで帰っていいの?」と不安になるくらい簡単〜!

なおレジゴーは店頭の端末のほか、自分のスマホにアプリをダウンロードすることでも利用可能。使い方はどちらもほぼ同じで、個人的には僅差でスマホアプリの方が、より手間が少なく感じた。

レジゴーの素晴らしいのは、まず “個人情報を登録する必要がない” という点だ。そして何より、よほど混み合っていなければ待ち時間ゼロ。これならお年寄りや、たまにしかイオンへ来ない人も抵抗なく利用できる。一般レジは大混雑しているというのに……これ、マジで大発明すぎやしないか!!?


・それでも日本で流行らない理由

……が、しかし。果たして皆さんの中に「レジゴーのこと知ってた」という方が何人おられるだろう? “まだ導入店舗が少ない” という問題はあるが、これほど画期的なサービスであれば、もっと話題になってもよさそうなものだ。

また、あくまで私の見てきた範囲内ではあるが、明らかにヨーロッパのほうがセルフ会計利用者が多かったように思う。一体この差は何なのか? 国民性とか色々な要因が考えられる中、ひとつだけ思い当たるのが……


“レジカゴ” システムだ。


日本のスーパーでは “レジカゴに商品を入れて買い物し、レジで別のレジカゴに移し替えてもらう” という流れが一般的である。しかし我々にとって当たり前なこのシステム、世界で見ると少数派だということをご存知だろうか?


・日本のレジはサービス過剰?

海外のスーパーでも “選んだ商品をレジカゴに入れる” ところまでは同じなのだが、決定的に違うのは会計時だ。レジへ続く道のりには長いベルトコンベアが設置されており、客はカゴの中から商品を出し、その上に乗っけなくてはならない。

そしてレジを通過した商品は、なんとレジ端にポイポイと放り出される。それを客は素早く拾い、持参したバッグに詰めなくてはならないのだ。モタモタしていると「チッ」と次の客に舌打ちされるので注意が必要。海外におけるレジ通過は、かなりの緊張感と労力を要する行程なのである。

あの面倒な状況をスキップできるとなれば、そりゃみんなセルフ決済に飛びつくだろう。対して日本のスーパーはどうだ。カゴをただレジに置くだけでOK。それをレジの人が丁寧かつバランスよく、別のカゴに移してくれるではないか。

これほど手厚いサービスをしてくれたんじゃ、そりゃ「多少並んででも有人レジのほうがいい」という層は減らないだろう。元々の質が高すぎるがゆえ、新しいサービスがなかなか定着しない……これぞ我が国の “おもてなし・ジレンマ” といえる。

いっそ日本もカゴの詰め替えサービスを廃止し、有人レジの数を減らしてみてはどうだろう? あるいはあえて無愛想な店員を配置し、レジを超居心地の悪い空間にするとか? 少し極端だが、それくらいの荒療治をもってでないと、日本のIT化は進まないのかもしれない。


……とまぁ、話がそれたが、ともかくイオンの『レジゴー』は非常に優れたサービスである。また体験していない人は今すぐ導入店舗へ足を運んでみてほしい!

参考リンク:レジゴー
執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.