うわぁぁぁぁあああああああ! すまぬ……! でも完全に事故のようなもの。どうか、これで心を折られないでくれ……!! 

ウマ娘をプレイ中に、スマホの前で、思わずそう呟いてしまった。ゲーム「ウマ娘プリティーダービー」にて2022年3月22日から始まった、対人レース「チャンピオンズミーティング ピスケス杯」でのことだ。いや、これは良くないと思う。悲しみに満ちている。

・チャンミとは

「チャンピオンズミーティング」、略してチャンミとは、ウマ娘で毎月開催されている対人コンテンツ。公式から毎月レースの条件が指定され、プレーヤーは条件に合わせて育てたウマ娘から3人を選んで1チームとし、競い合わせるのだ。

チャンミには大きくわけて、ウマ娘の育成ランク(強さ的なもの)に上限のない「グレードリーグ」と、育成ランクBまでと決められている「オープンリーグ」の2種類がある。


ウマ娘は先日ゲームリリースから1周年を迎えたが、サービス開始当初からプレイしていたトレーナーにとって、もはやこの辺りの説明は不要だろう。自分に合ったリーグが判断できるし、届きそうな結果や、競合相手の強さも最初から大体見えていると思う

つまり、対人コンテンツにおいて重要なユーザー同士の「棲み分け」がなされている状態で、ほとんどのトレーナーにとって結果はだいたい受け入れられるものである環境となっていたはず(スキル不発などで悔しい負け方をするケースもあるとは思うが、その可能性も把握済みだろう)。


・前回までのチャンミ

もはや競い合う相手は同じ程度の強さ。ほぼ圧倒的勝ちも無ければ、圧倒的負けもなく、程よくスリルある勝負が楽しい。それゆえに、勝てると嬉しいし、負けても来月こそはと前を向くことができる。

ちなみに超微課金勢で1日に1人か2人育成する感じの筆者は、毎回「グレードリーグ」のBグループ(上限の無いグレードリーグ内でもちょっとライト層向け)での優勝を目指すことにしている。

より具体的な話をすると、今回のチャンミは「ピスケス杯」というタイトル。条件は、阪神競バ場での3200メートル。天候は雨で、バ場状態は不良。おそらく春の天皇賞をモチーフにしたレースだろう。

出場するならスタミナは1000以上で、昨今だとスピードはほぼカンストが当たり前となっている。出場させるウマ娘の選択、持たせるスキルなども、だいたい全トレーナーがそれなりに「わかってる」仕上がりが普通だった


・正月~1周年記念

のだが……開始初日の1戦目から、ここ数か月で1度も見たことのないような相手と当たっているのだ。具体的に特定できるような記述は避けるが、例えば不良バ場の3200メートルは到底走り切れないようなスタミナだったりとか、そういう「えっ?」となる感じ。

チャンミでは対戦相手のプロフィールからプレイ歴も見ることができる。対戦相手の意外すぎるに様子に違和感を覚えチェックしてみると、育成回数が極端に少ない。しかも所持していると思しきウマ娘は、最近ピックアップされていたキャラばかり。これは


_人人人人人人人人人人_
> 最近始めた新規勢 <
 ̄Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y^Y ̄


先日ウマ娘はゲームの一周年を迎えたばかり。それを記念して、山手線をジャックしたり、秋葉原のアトレをウマ娘化したりと盛大に宣伝(どちらも終了済み)。無料ガチャも開催し、まさに「ウマ娘を始めるなら今!」という雰囲気が半端なかったのだ。


そうか……始めたばかりだとAランクいけたら嬉しいものな。しかもストーリーモードなどの場合、春の天皇賞や有馬記念などの長距離でも少なめなスタミナで走り切れるし、NPC相手に勝てるようになっている。

チャンミの説明的にも、Bランクまでは「オープンリーグ」でも、Aランク以上ができたら「グレードリーグ」でもイケそうな雰囲気が出ていなくもない。


しかし現状だと、はっきり言って実態はどちらも魑魅魍魎の巣窟。「オープンリーグ」は評価値のシミュレーターなどを利用し、BランクはBランクでも、あらゆる数値やスキルの取捨選択を理論値ギリギリまで攻めた、ライトセーバー並みの切れ味を持つウマ娘たちが待ち構えている

そして「グレードリーグ」に至っては青天井なため、全ステータスがカンストに近く、スキルも凄まじいことになっている範馬勇次郎の如き仕上がりのウマ娘たちと普通に遭遇する

マッチングする時間帯によって多少揺れ幅はあるが、プリティーさはガワだけで、敵対するスタンド使い同士の立ち合いシーンのような世界観になっているところはあると思う。


・キュッとなる

こ、これはマズいのでは……と思いつつも、エントリーした以上できることはない。レースが始まると……なんとも心がキュッとなる展開&結果に

負けは負けでも、「惜しい負け方」とかではなく、まるでサービス開始当初に多くのトレーナーが体験したであろう、ハルウララの育成ストーリーにおける有馬記念のよう。喉のあたりが苦くなる感覚。


そして冒頭の呟きに繋がるのだ。無粋なことを言えば、勝てば貰える報酬が増えるため、環境に馴染んでいるトレーナーとしては美味いと言えなくもない。筆者もそれで容易く勝ってしまって得したのは事実。

しかしウマ娘みたいな育成ゲームは、育てたキャラに愛着がわきやすい。その辺りも理解できる身からすると、始めたばかりの初のチャンミで、このレース展開を叩きつけられるのはあまりに救いがない気がする

筆者はどちらかと言えばクソ雑魚だ。運が良ければBグループで勝てるが、負けても普通といった具合。その筆者ですら、先月までのチャンミでは見たこと無い派手な勝ち方をしてしまえるほどのガチ新規さんと、今回そこそこマッチングしている。

彼らが勇次郎と当たってしまったらどうなるのか。それは、もしかしたら次のレースかもしれないし、最悪残りのラウンド1全てで勇次郎に当たる可能性とてわりとあると思う。さすがに無情が過ぎる。

勘違いしないで欲しいのだが、筆者は彼らに「グレードリーグはヤバいからオープンに行け」と言っているわけではない。数段落上で述べたように、「オープンリーグ」とてもはや魔境。仕上げるのに必要な精度は「グレードリーグ」を超えると思う。

1年前からやり込んでいるトレーナーと、始めたばかりの新規が容赦なくマッチングしてしまう環境そのものに、何とかならないものかと感じているのだ。現状だと、正月から1周年にかけて始めたばかりの新規トレーナーたちには、どこに行っても圧倒的試練が待っている。

それに、勝っても「初心者狩り」みたいなことをしたような気分で、微妙に罪悪感がある。きっとそういうトレーナーは他にもいるだろう。まあ、始めたばかりということで、相手もある程度負けることは想定しているのかもしれないが……。

そして何より心配なのが、新規離れだ。どのゲームでも言えることだと思うが、対人コンテンツで棲み分けができていないゲームは、どうやっても人が離れていく。

ということで、例えば、近い時期に始めた者同士としかマッチングしないような仕様にならないかなぁ……と。あるいはライト層向けにもう1枠新しいリーグを開設するとか。何でもいいからとにかく救済が欲しい。

でも、サイゲームスは最高のコンテンツを作る会社だ。きっと何か用意があるに違いない。とりあえず、来月のチャンミでは救いがもたらされることをシラオキさまに祈っている。

執筆:江川資具
Photo:RocketNews24. / © 2021 アニメ「ウマ娘 プリティーダービー Season 2」製作委員会、(C) Cygames, Inc.
ScreenShot:ウマ娘 プリティーダービー


▼全く関係ないけど、もしかしてホーム画面で左右に視点をパンできる幅がいつの間にか狭くなりました? 柱の向こうまで見られなくなったの、うちのウマ娘だけ? 気のせい?