新型コロナウイルスの療養施設にいる佐藤です。現在私は、同じくらい軽症の方々と無言の共同生活を送っている。入所して2日が経ち、症状が安定して生活にも慣れ始めたところだ。ここに至るまでに、もっとも辛いと感じたことをお伝えしたいと思う。

・無言の共同生活

最初に感染拡大時療養施設での生活を簡単に説明しておくと、「臨海学校」とか「林間学校」に近いのかもしれない。宿泊施設で共同生活を送るさまは、どことなく学校行事に似ている気がする。

食事の時間、消灯時間(天井照明)が決まっているので、ゆるく時間管理されている状況だ。


ちなみに、食べ物に関してはまったく不満がない。3食弁当がついているし、ちょっとしたお菓子も自由に食べられるし、ミニカップ麺は置いてあるし、おかゆとかもある。食い物で困ることは特にない。

強いて言えば、果物を食べたい。けど、生鮮品の差し入れはできないので、退所するまでの1週間を我慢するしかないだろう。いずれ弁当をまとめて紹介したい。


プライバシーに関する心配もまったくない。天井が開いているので部屋の外の音は丸聞こえだ。部屋の中の音も外に丸聞こえではあるけども、ネットカフェだと思えば全然苦じゃない。

そもそもプライバシーを優先したければホテルに行ったはずなので、ここに来ている人たちは皆それぞれ弁(わきま)えている印象を受ける。


・何が辛いか?

ただし、ヘビーアイコスユーザーの私にとって、施設内の禁煙は本当に辛い。けど、1週間後からまた吸えると思ったら我慢できる! これを機に禁煙しようとか全然思ってないと、念のためにお伝えしておこう。

それから時間。さすがに21時に消灯は早いけど、いずれ慣れると思っている。今のところはテレビを見るかYouTubeを見るかしかすることがないので、寝ちまうのが1番だと思っている。


そして……


何が1番辛いかというと……


なんでもかんでも電話で打合せをしないといけないこと


辛かった……


3月12日に発熱、14日にPCR検査で「陽性」が判明する訳だが、この2日で咳がひどくなって、どんどん声が出なくなった。そのため喋るのが辛く、電話越しだと自分の言いたいことが全然伝わらない。

かすれにかすれて、空気が漏れる音しかしない。言うならば、プロレスラーの天龍源一郎さんや本間朋晃さんのようなかすれ声である。

それなのに、保健所・病院・送迎車のドライバー・施設などと全部電話でスケジュールを決めないといけない


生年月日・現住所・電話番号・症状の経過などなど、異なる相手に電話で同じことを繰り返し説明し伝えなければならず、本当に辛かった。苦痛だった。しゃべればしゃべるほど声が出なくなっていくのに、伝えないと話が前に進まないし。

LINEで症状を報告したのに、その内容を電話で確認してくるって何なの? 平熱で血中酸素濃度も問題ないのに、何で電話で確認してくるの? LINEする意味ないじゃん。


入所して2日が経ち、ようやく電話連絡の世話になる頻度が減って、今は安心している。

東京都の方へ、もう少しこの仕組み、なんとかなりませんかねえ? しゃべらずに済ませたいんですよ、具合の悪いもんでね。軽症の私でさえ辛いのに、もっと症状の重い方には酷だと思いますよ。


参考リンク:東京都福祉保健局
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24

▼この声で電話で話すのは辛い。伝わらない……