大阪のオススメ観光スポットは? 大阪出身である私(中澤)はそう聞かれると「新今宮」と答えている。イッツ大阪ジョーク。
まあ、ぶっちゃけると特にオススメとかない。通天閣は商売っ気が強い典型的な観光スポットだし、大阪城は環状線から見えた時が一番テンションが上がるのでそれだけで十分だと思う。むしろ、私が教えて欲しい。そこで接待の達人に聞いてみた。
・接待歴40年以上
生まれも育ちも大阪にしてバブル期からバブル崩壊後を生き抜いた根っからのサラリーマンである達人。大阪外から訪れる様々な人をウェルカムし続けた接待歴は40年以上にものぼる。その達人とは……
私のオトンである。
典型的な昭和の企業戦士であるオトンは、私が子供の頃、寝る前に帰ってくる方が珍しかった。むしろ、私はオトンについて「土日に来ている」と認識していたくらいである。
・接待の鬼
で、当時オトンが口癖のように言っていたのが「接待や」という言葉。その言葉しか知らないのかと思うほどに、何を聞かれても「接待や」と答えていたような記憶がある。まさに接待の鬼と言えるだろう。
誤解のないように言っておくと、私はそれについて特に嫌だとか思ったことはない。まあ、そんな私の家庭事情はさて置き、達人が事実めちゃくちゃ接待してたってことはお分かりいただけたかと思う。というわけで、今回は達人の自宅で話を伺った。つまりは、実家だ。
・外さないスポット
接待をしたことがない私は、「接待=飲み会」だと思っていたのだが、達人に言わせると別にそういうわけではないらしい。どうやら、何をするかは相手によりけりなようだ。
そんな達人の対戦歴の中でも、国内はもちろん、海外からの客にも評判の良かった “外さない” スポットが大阪城公園にあるという。そこで大阪城公園に行ってみた。
・まさかの場所
小高く辺り一帯を見渡せるようになっているJR大阪城公園駅の出口。しかし、達人のオススメしていたスポットは見当たらない。駅前もショッピングモールみたいなのができたり大分変わっているし、ひょっとして潰れたのだろうか? とりあえず階段を降りて辺りを散策してみたところ……
あった……!
川の駅「大阪城港」が!!
いわゆる水上バスなのだが、「水の都」と呼ばれる大阪だけに、達人いわく外さないスポットになっているらしい。そう言えば大阪って水の都だったな。水の都オーラが全くないので、この話が出るまですっかり忘れていた。
それにしてもスタバの裏は隠れすぎである。その影レベルは学校で言うと体育館裏みたいだ。不用意に立ち入ったらヤンキーに絡まれるスポットではないか。
で、川の駅はスタバの裏の林みたいな道をさらに下ったところにある。勇気をもってスタバの裏側に回っても、まだ木々で影も形も見えないんだからやはり隠れすぎだ。
・穴場
ゆえに、客はスタバの10分の1にも満たないかもしれない。参考までに、私がチケット(大人1600円、小学生800円)を購入した15時30分出向の乗客は3組ほどであった。ちなみに、11時から16時15分までで8本の便がある模様。
浅草の水上バスが常に行列であることを考えるとまさに穴場と言える。しかし、大阪って別に街が浅草やお台場ほど綺麗なわけではない。だから、こういう遊覧的なものにあまり惹かれないんだけどこれ本当に楽しいのだろうか? 客の少なさが物語っている気もする……。
・乗ってみると
と思いきや、乗ってみると楽しいというより味わい深かった。まず、独特だと思ったのは船上での時間の流れ方だ。川にいるからだろうか? 陸地に流れる時間と切り離されたような感覚を覚える。もっと簡単に言うと、時間の流れがゆっくりに感じるのだ。非日常感がスゲエ。
その時間の流れの中で見る中之島の通りや川沿いの公園は、どことなく海外っぽいオーラを放っている。しかし、見た目は確かに大阪で、別の世界に迷い込んだかのようだ。まるでスタジオジブリ『耳をすませば』のエンディングでも見ているみたいである。
・再発見
そこで気づいたのが、橋の上にいると橋は見えないということ。大阪に生まれ20年以上住んでいたが、初めて見る大阪の街がそこにあった。
そんな感動のためか、川を泳ぐ鴨を見つけただけでもテンションが上がる。私は2022年で40歳だが断言しよう。「これまで見た中で最も可愛い鴨である」と。あの鴨に会うためにまた乗りたい。
という感じで、40分のクルーズ中、長さを感じることは全くなかった。むしろ、終わり頃はもっと遠くに行って欲しいと思ったくらいだったから、確かに外していないと言えるだろう。
日常の光景が輝いて見えるこのスポットはまさに再発見。観光客はもちろんだが、ひょっとしたら大阪人の方が楽しめるかもしれない。
・今回紹介したスポットの情報
名前 川の駅 大阪城港
住所 大阪府大阪市中央区大阪城2
営業時間 11:00~16:15
定休日 不定休
参考リンク:大阪水上バス「アクアライナー」
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
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