「レバノン料理」と言われてピンと来る人はきっと少ないだろう。それどころか、場所すらあやふやな人が多いのではないだろうか。地中海沿岸のアジア側にあり、いわゆる中東に属する国がレバノンである。

以前、レバノン系アメリカ人のケーシー・バシールさんに聞いた伝統料理「ハシュイー」の作り方をお伝えした。レバノンの牛丼って感じのこの料理。中東を知らなくても中東オーラが出る簡単さも特徴だが、作っている途中に気づいてしまった。「あれ? これもっと簡単にできるんじゃね?」と

・炊飯器でできるのでは

家庭によってバリエーションがあるというハシュイー。バシール家のレシピでは、フライパンで牛ひき肉を炒めた後、米と共に鍋で煮ていた。レシピの詳細は以前の記事をご確認いただくとして、出来上がったものは、シナモンの香りが中東オーラを醸し出す一品。

しかし、要するにこれは炊き込みご飯である。ということは炊飯機でできるのではないだろうか? そう思ったので炊飯器用に調味料や具材の量を調整して試してみることにした。


・炊飯器で作る「ハシュイー」

【レシピ】
米 2合
牛ひき肉 230g
固形コンソメ 1粒
シナモン 小さじ1杯半ほど


【つくりかた】
1. 研いだ米と2合分の水を炊飯器に入れる


2. 材料を全部炊飯器に入れる


3. 炊飯ボタンをピッ


4. 炊きあがるまでほったらかす

──以上である。牛ひき肉の量を半分にしたのは私の持ってる炊飯器が炊き込みご飯2合までの1~2人用炊飯器だったから。デカイ炊飯器なら、元レシピのように牛ひき肉450gでも問題ないと思う。調味料を減らしたのは水の量に準じてだ。

・食べてみた

炊飯器を開けると、見た目はちゃんとハシュイーだ。ただ、炊飯器レシピは食べてみると、いくら簡単レシピと言えども許容できないレベルで偽物っぽい味になっていることがある。つまりは、食べてみるまで分からない。はたして、これはハシュイーと言えるのか? パクリ……

ちゃんとハシュイーだ


伝統レシピで作ったものを食べたのは1日前なのでその独特な風味をまだ覚えているのだが、炊飯器ハシュイーにもしっかりとそれを感じる。

ひき肉を焼いてない分、牛脂のパンチはバシール家伝統のハシュイーには劣るにしても、ハシュイーのハシュイーっぽさのようなものは失わずに作ることができた

・炊飯器ハシュイーの利点

また、炊飯器で作る利点として保温機能を使えるということがある。これなら1人暮らしでも気楽に作れるはずだ。そして、食べていて気づいたのだが、お手軽に作れるということは思いつきのアレンジを試すハードルが低いということでもある。個人的には「TKGハシュイー」が良かった。

なお、味の濃さは鍋で炊いた時ほど均等にはならなかったが、それはもう手間の差と言う他ないだろう。元々、家庭料理で食べ方もあってないようなものなので薄いと思ったら塩とか調味料をかけて、自分の舌に合わせて食べるのもアリだ。

ちなみに、ケーシーさんはハシュイーをピタパンに挟んで食べるのがお気に入りなのだという。まさかのご飯パン! 炭水化物+炭水化物!!

まあ、バシール家伝統のハシュイーは肉の量が凄かったので、ご飯ものというより肉料理というニュアンスなのかもしれない。家庭によってバリエーションがあるというハシュイー。自分だけの味を探求してみよう。

執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.