観光名所からグルメスポットまで、その地域の情報を知り尽くしている……と思われるのが「タクシードライバー」だ。あらゆる情報がネットで取得できる時代だからこそ、タクシードライバーさんが持つ知識は逆に貴重ではないだろうか?

つい先日、大阪を訪れた私、P.K.サンジュンはタクシーに乗車した。行先は「この辺りで1番おいしいラーメン屋さん」まで──。果たして大阪のタクシードライバーさんは、私をどこに導いてくれるのだろう?

・ネットで調べられるけど

みなさんは観光地に出かけた際、どんな手段で情報を得るだろうか? おそらくではあるが、私を含めた多くの人が「ネットで調べる」と答えるハズ。かつては隆盛を極めた “ガイドブック派” も、今ではそう多くないことだろう。

さて、ぶっちゃけた話「おいしいラーメン屋」を探そうと思えば、スマホで検索するのが最も手っ取り早い。なんなら好みの味やロケーションも絞り込めるため、合理的に考えれば「ネット検索」が正解に近いことは重々承知だ。

・奇跡を信じろ

だがしかし、旅の醍醐味……いや、人生の醍醐味は「ラッキーハプニング」にある……と思う。自分では予測しえない偶然にこそ “感動” があるのではなかろうか? そういう意味でタクシードライバーさんが持つ知識は「感動の泉」である可能性が非常に高い。

今回私が乗車したのは、梅田駅のロータリーにて乗車待ちをしていたタクシー。大阪きっての超大型駅のロータリーにいるということは、普段から観光客を乗せる機会も多いハズ。私は70代に届きそうな男性タクシードライバーさんに「この辺りで1番おいしいラーメン屋さんまで」と告げた。すると……。


「知らんなぁ……私、普段はこの辺りで走ってませんのよ。いつもは○○(聞き逃したが地名)あたりにいますねん。それと滅多にラーメンも食べへんしね。全然思い浮かばんなぁ……」


なんということでしょう? 地元のタクシードライバーさんでないだけではなく、滅多にラーメンも食べないとは。それでも「有名店でも小ぢんまりした店でも構いません、運転手さんが美味しいと思うラーメン屋まで!」とお願いし続けると、迷いながらも車を走らせてくれた。

・なんとか到着

で、時間にすると10分弱、到着したのは「らーめん 弥七」というお店。運転手さんいわく「私は入ったこと無いんですけど、昔はよう並んでましたわ」とのことである。運転手さん、どうもありがとうございました。

さて、その「らーめん 弥七」に到着したのはイイのだが、情報とは裏腹に1人も行列が出来ていないではないか。よく見ると現在は整理券制になっているようで、優しそうな女将さんから「1時間半後になりますが……」と整理券を手渡された。

なんやかんやあって、1時間半後──。初回なので女将さんにオススメしていただいた「醤油らーめん(820円)」と「ヘタめし(390円)」をオーダー。ヘタめしとはいわゆる “チャーシュー丼” のことのようで、弥七さんの人気メニューらしい。

ドライバーさんが「食べたことが無い」と言っていたのは気がかりだが、それでも何とか辿り着いたラーメン店。どうか大阪に良き思い出を残させてくれ……! さっそくラーメンのスープからいただいてみると……!!


あ、ウマい!


スープは鶏白湯系で、まろやかな口当たり。ガツンと濃厚 “インパクト重視” と言うよりは、食べ進めていくごとにジワジワおいしくなる “後引く系” の味わいだ。ツルツルとのど越しの良い麺も実にウマい。

・完全に当たり

また、ラーメンの薬味としては珍しい玉ねぎのアクセントも非常に心地よかった。総合的に考えても、ちょっと東京では記憶にない系統の味わいだったので、まさに「弥七オリジナルラーメン」と言ったところだろうか?

さらにヘタめしも香ばしいチャーシューと脂の甘みが絶妙で、無我夢中でかき込んでしまった。店中の壁を覆い尽くした著名人たちサインが物語るよう「ウマい」としか言いようがない。いい仕事したぜ……弥七さんとタクシードライバーさん……!

そして何より印象的だったのは、ご主人と女将さんの優しさ。「テストはどうだった?」「久しぶりだね」などと気さくに声をかける様子からは人柄があふれまくっていた。なんだかオイラ、あったけえ気持ちになっちゃったよ……。

というわけで、序盤はややハラハラしたが、結果的にタクシードライバーさんが教えてくれた店は「最高♡」という結果となった。1時間待っても絶対に食べたい、というか、今度大阪に行ったら絶対に行きます。弥七さんもタクシードライバーさんも最高でした。

・今回ご紹介した専門店

店名:らーめん弥七
住所:大阪府大阪市北区豊崎3-4-8

執筆:P.K.サンジュン
Photo:RocketNews24.
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