岩壁など、自然の岩山に仏や菩薩を彫刻したものを「磨崖仏(まがいぶつ)」と呼ぶ。国内でいえば、国宝に指定されている大分県の臼杵石仏(うすきせきぶつ)が有名。なんでも磨崖仏の多くは、平安時代後期から鎌倉時代にかけて盛んにつくられたのだとか。

一方、神奈川県横須賀市の鷹取山(たかとりやま)には、昭和40年頃に彫刻家が約1年かけて彫った磨崖仏があるという。歴史は浅いが、古代遺跡のようなオーラを漂わせていると評判なのだとか……実際どうなのか見に行ってきた。

・鷹取山へ

京急追浜駅から徒歩約30分の場所にある「鷹取山公園」。どうやら近くまでバスも出ていたらしい。看板の案内どおりに山道を歩いていけば、公園入口から約10分で磨崖仏とご対面できるだろう。ただし途中けっこう険しい道もあるので、歩きやすい靴で行くのがおすすめ。

標高139メートルの鷹取山は、垂直に切り立った岩石が特徴。

岩肌には無数の穴が開いているが、これらはロッククライミングの練習で打ち込まれたハーケン(金属製のくさび)の跡だという。


なんというか、すでに古代遺跡のような雰囲気が漂っている。とても静かだ。


なお、鷹取山での岩登りは原則禁止。鷹取山安全登山協議会の指導に従い、決められた事項を遵守すれば……とのこと。ま、今回の目的地は磨崖仏。天候も不安定なので先を急ぐ。

思ったよりも遠い。階段を上ったり下ったり……まるでジャングルのような山道を進んでいく




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あまりにもいきなり磨崖仏が現れた。


圧倒的迫力。神々しい弥勒菩薩(みろくぼさつ)尊像が、岩壁からグンッと飛び出しているように見える。今にも立ち上がりそうだ。そしてインディジョーンズのクライマックスに使われそうなロケーション……アマゾンの山奥に眠る秘宝は、きっとこの地で見つかるだろう。

美しく優しい面持ちでギリシア風衣装を身にまとった弥勒菩薩尊像は、ガンダーラ美術の影響を受けたとされ、高さ約8メートル、幅は約4.5メートル。まるで数千年の歴史を見てきたような佇まいである。

ちなみに案内板によると「岩質がもろいので登山練習は危険です」とのこと。当たり前だ。ただ……よく見るとけっこう打ち込まれている。いやマジでどこで練習してんだよ。

また聞くところによると、鷹取山にはもう1体、釈迦(しゃか)磨崖仏が存在していたが、小学校建設のために取り壊されてしまったらしい。バーミヤン遺跡の悲劇とは趣が違うが少し残念。現存する弥勒菩薩像はとても貴重な存在と言えるだろう。

・見晴らしは最高

山頂からの見晴らしも抜群だし、天気の良い日には山を楽しむ多くの人で賑わっているらしい。機会があれば、ハイキングがてら迫力ある磨崖仏を見に行ってみてはいかがだろうか。行くなら歩きやすい靴でね!


・今回ご紹介したスポットの詳細データ

名称 鷹取山磨崖仏
住所 横須賀市湘南鷹取3-3-520

執筆:砂子間正貫
Photo:RocketNews24.

▼いきなり磨崖仏が現れてビックリしました