『人狼(じんろう)ゲーム』ってなんだかすごく面白そうな感じがする。ちなみにプレイに必要な人数は10人前後……って、そんなに友達いるわけないだろ! 悲しい事実を思い出さすなよ! となれば、オンラインで他人とプレイする他に道はない。

しかし人狼は知識と経験を要するゲームであり、初心者のうちは他プレイヤーに迷惑をかける可能性が高いだろう。ネットで怒られるのはイヤだ。でも誰もが最初は初心者だし……とか悩んでいたところ、最近若者の間で『Among Us』なるゲームが流行っていると耳にした。

『Among Us』は宇宙を舞台にした人狼ゲームの一種。しかも1ゲーム20分前後とお手軽らしく、それなら私にもやれるかもしれない。果たしてファミコン世代の中年は、オンラインで人狼を楽しむことができるのだろうか?

・ボイチャが苦手なあなたへ

結論から申し上げると、私は開始2週間で『Among Us』をのべ30時間ほどプレイ。要するに、かなりハマっているのである。人狼に興味があるけど二の足を踏んでいた人は、絶対にやってみるべき!

このテのゲームをやるうえで、個人的に一番のネックとなるのは「他人とボイスチャットを繋ぎたくない」という問題。もちろん「見ず知らずの人とガンガン喋りたい」というアグレッシブな人もいるだろうが、私は顔の見えない相手と喋るのが得意ではないのだ。

トラウマの原因はかつて人気のバトルゲーム『荒野行動』をプレイしたことにある。あのゲームはボイスチャットの使用がほぼ必須だったのだが、私は視力の衰えからフィールド上の敵を見つけ出せず大ミスを連発。顔も知らぬ中学生に罵倒された思い出……。

その点『Among Us』は、もちろん声で議論したほうが白熱するのだろうが、少なくとも初心者のうちはボイチャを導入せずとも文字のチャットで十分楽しめる。オンラインコミュ障でも安心なのだ。


・予習復習はエチケット

さて『Among Us』はアメリカ発のインディーズゲーム。昨年人気に火がつき、現在のところパソコン(Windows)とニンテンドースイッチ版が520円、スマホなら無料でダウンロード可能だ。

ちなみに協力プレイを要するオンラインゲームは事前に動画などである程度の知識を仕入れておくのが最低限のエチケットである。特に中年やゲーム慣れしていない層なら絶対だ。「ゲームをするのに予習なんて……」とか言ってるヤツ、甘えは捨ててくれ。

『Among Us』は人気ユーチューバーも続々と参戦している人気作であるからして、ルールやある程度の流れは簡単に確認することが可能だ。

オンラインゲームは自分の時間と同時に、他人の時間も使ってプレイするもの。初心者だからといって罵倒される筋合いはないのだが、初心者サイドも周囲への迷惑を考え、できるだけの備えはしておいたほうがよい。

ゲームの詳しい説明は長くなるため各自で動画などを確認いただくとして、ここではズブの初心者が初プレイで注意すべき点についてお伝えする。まずフィールドを選択する必要があるのだが、最初は『THE SKELD』の一択と言っていいだろう。

本作で人狼に相当するのは「インポスター」と呼ばれる殺人者で、その他のプレイヤーは「クルー」。クルーに紛れ込んだインポスターは一定時間に1人ずつ、クルーを殺すことができる。

時間内に一定数までクルーを減らせばインポスターの勝利。殺害状況などから犯人を推理し、インポスターを全員追放できればクルー側が勝利というルールだ。


・何でプレイするか問題

「どのハードでプレイするべきか」という問題については、もちろんパソコンが一番使いやすい。ただし私は「ちょっとした空き時間にプレイしたい」という希望だったため、スマホとスイッチ両方でダウンロードしてみた結果、スイッチでプレイすることを決めた。

スイッチはスマホと比べて「操作性に優れている」「通信が安定している」という利点があるのだが、 “文字入力に時間がかかる” という致命的な弱点も抱えている。例えば「◯◯が犯人だ」といった短い発言であれば問題なく入力できるが……

「その理由は?」と問われたとき、スイッチの入力速度では時間内にうまく回答できない場合があるのだ。よって複雑なやりとりを行う場合はパソコンか、スイッチにキーボードを接続するなどの対策が必要。(※ 2021年4月18日現在の情報)

ちなみに文字入力を一切行わず『Among Us』をプレイすることも不可能ではないが、あまり現実的ではない。ずっと黙っていると仲間から疑われてしまう場合も多いからだ。初心者のうちは必要最低限だけ発言し、慣れてきたらキーボードの導入を検討すればいいだろう。


・クルーの場合の注意点

さて先ほど私はのべ30時間ほどプレイしたと申し上げたが、まだゲームに慣れたわけでは全然ない。緊張と恐怖で汗ビチョビチョになりながらプレイしている次第だ。

自分がクルーとインポスターどちらに属するかは、ゲームのたびにランダムで決まる。クルーだった場合はタスク(ミッション)を遂行しながら、なるべく殺されないように気をつけつつ、クルーに紛れたインポスターを探し出すことが任務。

ただし仮に殺されても推理を間違えても、別に誰かに怒られるわけではない。タスクも簡単なものが多いから、すぐに安心してプレイできるようになるだろう。


・インポスターになった場合は……

問題はインポスターになってしまった場合だが……こればっかりは私もまだ慣れていない。インポスターは他プレイヤーに嘘をつくのが役割である。そういうゲームなんだから別に悪いことをしているわけではないが、ゲームとはいえ嘘をつく時は心が痛む。

が、こちらもクルーと同様、バレたからといって別に怒られるわけではない。大切なのは「焦ってすぐに殺害をしようとしないこと」「バレても気にしないこと」だ。とにかく落ち着いてプレイすることを心がけてほしい。

ちなみにこのゲームの真の楽しさは、インポスター側に回った時だと言われているぞ。早くその境地に行きてぇな。


・ここ重要!

さて私が初心者なりに導き出した結論として、他プレイヤーに迷惑をかけないために最も重要なのは「自分の現在位置を常に把握しておくこと」である。自分の現在地を伝えなくてはアリバイが証明できないからだ。とにかく「自分が今どこにいるか」さえ押さえておけば、初心者でも最後までプレイできる。

そのためにはマップ上の各部屋の名称を覚える必要があるのだが……そんなもん最初から覚えられるワケがない。よって最初は手元にマップの全体図を置いた状態でプレイすることを強くオススメする。

また現在地の他に「他プレイヤーの色と位置を伝える」ことも要求される場合があるが、初心者の我々に他人の位置まで把握する余裕があるワケもない。そんな時は「おぼえていません」で大丈夫だ。絶対に怒られないから落ち着いていこう。

また時おり他プレイヤーが意味の分からない横文字を言い出すことがあるが、それらはほぼ “部屋名の英語読み” と思っておけばOK。例えば「アドミン = 管理室」「リアクター = 原子炉」といったぐあい。実はこのゲームは最近まで日本語に対応しておらず、英語でプレイしていた時代の名残だと思われる。

また「ローラー」や「吊るす」といった専門用語も難しそうに聞こえるが、単純に「インポスター候補を追放しよう」といった意味の言葉。数ゲームもプレイすれば覚えてしまうだろう。念のため、その場ですぐ意味をネット検索できるようにしておけば安心だぞ。落ち着いていこう。


・わりと優しい人が多め

もうひとつ、初心者がプレイする際に重要なのが “『初心者部屋』に入室すること” である。間違っても『上級者限定ガチ部屋』に入室してはいけない。自分の名前も「初心者◯◯」とかに設定しておくといいだろう。

『Among Us』は歴史が浅いゲームであり、昨日や今日始めた初心者が他にもたくさんいる。最初に「自分は初心者だから間違えるかも」と宣言しておけば、他プレイヤーたちも別に怒ったりしないのだ。ネット民、意外と怖くない!

『Among Us』をプレイしているのは若年層が中心とみられ、昭和生まれの身としては「みんな飲み込みが早いなァ」と感じる場面も多い。「若い子の雑談についていけない」「 “すとぷり” とは?」といった不安にブチ当たることもあるだろう。

が、しかし! 何度も言うが、大切なのは怖がらず落ち着いてプレイする気持ちだ。この調子でコツコツやれば、私もいつかガチモンの人狼をプレイできる気がする。中年の初心者たちよ、恐れず進め。その先に見えてくるものがあるはずだ。

執筆:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.
ScreenShot:Among Us(Nintendo Switch、iOS)

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