小学生にとって、消しゴムはステータスアイテムだ。学校の持ち物規則をかいくぐり、個性を主張できる数少ないチャンス。動物の形や匂いつきなど、珍しい消しゴムをもっている人は一躍ヒーローになれた。

普通の消しゴムしかもっていなくても、消しカスを集めて「ねり消し」を作ったり、机の凸凹に詰めるなどのイタズラをしたことがあるだろう。どうやら現代の子どもたちも同じらしい。

一説によると今日4月15日は消しゴムの日。懐かしくも新しい、イマドキのおもしろ消しゴムをご紹介したい。


・カレーシリーズ

まずは株式会社サカモトの、カレーやシチューのルーを模した香りつき消しゴムのシリーズ。本物そっくりのパッケージに入っている。大きさはともかく、超リアルな印刷で、パッと見は消しゴムだとは思わない。

「カレーのおじさま」と、ちょっとしたダジャレも効かせてきている。


中身はルーの形になっていて、「カレーの香りつき」だというので、期待しながら開ける。筆者の子ども時代は、フルーツなどの匂いつき消しゴムはすでにあったが、学研の冊子の「こするとチョコレートの香りがするページ」には度肝を抜かれた。

普通にゴムの匂いだった。


クラスメートの前で開けたら、嘘つき呼ばわりされる勢いである。きっと流通の過程で成分が抜けてしまったんだな。

念のためグリーンカレーも開けてみると、こちらはゴムと草が混ざったような、なんとも青くさい強烈な匂いがした。少なくともグリーンカレーの匂いではない。


・チューブシリーズ

続いては、日焼け止めクリームなどのチューブを模したシリーズ。先生から「学校にもってきちゃダメ!」といわれそうなほどリアルである。

こちらも「オモロイヤン」やら「SPF 0+」やら、ちょいちょいギャグセンスをのぞかせる。軟膏の効能は「にきび・やけど・しもやけ他、皮膚疾患には効きません」とのこと。そりゃそうだろう。

消しゴムはスティックタイプ。シンプルで使いやすいかもしれない。かつて赤いリップスティックを模した消しゴムが、欲しくて欲しくてたまらなかったのを思い出す。


・カップラーメン

こちらはチャルメラ……ならぬチャクメロ消しゴム。超有名カップラーメンを模している。


これは凝っている! フタを開けたら、中に麺が入っていた!!


・ギフトの宅配便

最後に贈答品らしいメロンの宅配便。パッケージには、どこかでみたような送り状がついている。


北海道から届いたマスク……じゃなくマサカメロン。2個入りだというので期待して開けてみると……


ああっ、これはいけない!


ここまでやるなら、球体のメロンが入っていて欲しかった! メロンの模様が印刷された、平べったい消しゴムだった。


・消し心地は?

ところで、こういったユニーク消しゴムは「消しにくい」のが世の常。ガチガチに硬く、鉛筆の粉も吸わず、そもそも消しゴムとして使うことを想定していなかったと思う。しかし筆者の子ども時代から数十年、技術の進化で、その辺は改善されているんじゃないだろうか。

……やっぱり消しにくかった。


消すどころか、鉛筆の字を伸ばしてしまいノートが黒くなる。普通の消しゴムで消し直したが、1度ケバケバになった紙面は元には戻らない。やはり本物の消しゴムにはかなわないのは、いまも同じか。

けれども、ユーモアやアイディアが光るパロディ消しゴムの世界は、いまも昔もおもしろい。今回ご紹介した商品のほとんどは株式会社サカモト製、一部が株式会社イワコー製だ。どちらもユニークな文房具を多数リリースしている。

ちなみに4月15日はイギリスの化学者が「ゴムで字が消える」ことを発見した日なのだそう。

大人になるとすっかり縁遠くなる消しゴム。子どもの頃、友だちに自慢した懐かしい消しゴムたちや、使い切らずに捨ててしまった消しゴムたちに思いをはせるのもいいかもしれない。


参考リンク:株式会社サカモト株式会社イワコー
執筆:冨樫さや
Photo:RocketNews24.