吉野家・松屋・すき家などの牛丼チェーンが繰り広げる終わりなき戦い。“牛丼戦線” だけでなく “カレー戦線” でも激戦が波及しているのはご存知の通りである。いや、むしろ現在はカレー戦線の方が苛烈(かれつ)かもしれない。
理由は言うまでもなく、「松屋」の存在。もはや牛丼チェーンなのかカレーチェンなのか分からなくなった感さえある同社は、『創業ビーフカレー』『ごろチキ』などの重火器を投入し、カレー戦線の支配権を強めている──といった印象を抱いているのは私だけではないだろう。だがしかし!
当然ながら、他のチェーンだって黙っているわけではない。つい最近も、吉野家が新兵器を投入したばかり。その名も『カリガリ肉だく牛カレー(税込657円)』というのだが、ご存知だろうか。
公式サイトを見てみると、肉だく以外にもノーマルバージョンの『カリガリ吉野家カレー(税込393円)』や唐揚げが乗った『カリガリから揚げカレー(税込657円)』などいくつかバリエーションがある。
だがそれより何より私がビビったのは、以下の説明である。
「吉野家は極上のカレーを追求するため、日本最大級のカレーの祭典である「神田カレーグランプリ」で2019年にグランプリを獲得した「カリガリ」にカレーの監修を依頼し、4月8日(木)11時から全国トップクラスのカレー激戦区である秋葉原・神田・神保町エリアの店舗をはじめとした関東エリア13店舗で数量限定にて販売します」
なんということだろう。吉野家は、カレーグランプリを獲得したカレー屋を連れてきたのだ。それはもはや米軍参戦。チートな一手という気もするが、果たして『カリガリ肉だく牛カレー』にどれほどの破壊力があるのか?
実際に吉野家で購入し、「松屋」の創業ビーフカレー(創業ビーフカレギュウ / 税込660円)と食べ比べてみたので報告しよう。
・食べた感想
手っ取り早く違いを述べるならば、吉野家の方はひと口目からスパイス感がしっかり来る。対して、松屋の『創業ビーフカレギュウ』は甘い。ただ甘いだけでなく奥深さも伴っているのが創業ビーフカレーであるが、とにかく松屋は吉野家に比べると甘い。
だから松屋の方が幅広い年齢層にウケそうとも言えるし、吉野家の方がカレーらしいカレーだとも言える。ただどっちが上かと聞かれたら、「系統が違うので好みによる」としか言えない。裏を返すと、吉野家の『カリガリ肉だく牛カレー』はカレー戦線の覇者・松屋と比べても決して劣るものではない。
現在のところ『カリガリ肉だく牛カレー』は店舗限定・数量限定と局地的な投入だが、全店舗で始まったら……松屋にとって脅威となる可能性は十分あるだろう。
ただその前に、他のチェーンが「吉野家さんがカレーグランプリの1位を連れてくるなら、こっちは食べログ1位のカレー屋と手を結ぶ」とか「じゃあこっちは料理研究家の人気YouTuberにカレーを作ってもらう」といった展開が見られる……かもしれない。
牛丼チェーンがますます何屋か分からなくなる未来。楽しみである。
・『カリガリ肉だく牛カレー』の対応店舗
ちなみに、先ほど吉野家の『カリガリ肉だく牛カレー』は店舗限定と書いたが、対応しているのは以下の通り。今のところ関東エリアの13店舗のみと数は決して多くないので、食べに行こうと思っている方はご注意を。
埼玉県:17号線本庄若泉店、17号線上尾店、17号線与野店、和光笹目通り店、外環和光北インター通り店
千葉県:行徳相之川店
東京都:東新小岩店、JR神田駅店、秋葉原中央通り店、神保町店、尾久橋通り舎人店
神奈川県:1号線川崎遠藤町店、港北ニュータウン店
参考リンク:吉野家「カリガリ監修のオリジナルカレーが誕生!!」、松屋「カレー」
執筆:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.