「みんなの食卓でありたい」、これは松屋のキャッチフレーズである。店内BGMでも聞き覚えのある方も多いだろう。
松屋はどうやら、その思いを形にしたらしい。というのは、東京・明大前に誕生した新店舗はまさしくその言葉を掲げているからだ。松のや・松屋・マイカリー食堂が合体したそのお店は「みんなの食卓 松屋食堂」と名付けられているのである。
・完全体松屋
松屋の併設店舗はそれほど珍しいものではない。「松屋 × マイカリー食堂」「松屋 × 松のや」など2ブランドがひとつになった店舗は、度々目にするようになった。最近では、横浜・鶴見に「すし松 × 松のや」が誕生し、その建物の1階には「松屋 × マイカリー食堂」が入居している。ここだけで松屋の4ブランドが集結している。
2023年8月、明大前に3ブランド集結店舗が誕生したと聞きつけて、お店に来てみると……。目の前に吉野家、マジか!
「牛丼 vs 牛めし」の戦いであれば、五分五分の勝負であったはずだが、「牛丼 vs 牛めし・とんかつ・カレー」となると、さすがの吉野家も分(ぶ)が悪かろう……。
さらにこの三位(さんみ)一体松屋食堂の上に、ステーキ屋松もオープンする予定。まさかの四神合体店舗と化すのである。「完全体松屋」もしくは「パーフェクト松屋」とでも言いたくなる集結ぶり。これは吉野家にとっても厳しいはず。
・発券機とセルフレジ
昼時に入店すると満席。席が空いてもすぐに埋まる状況が続いていた。どうやらオープン記念で割引をしているので、混み合っているらしい。その間に食券を購入しようとしたところ、ここの仕組みがちょっと変わっていた。
こちらが発券機である。券売機ではない。商品を注文するだけの端末だ。
注文を完了すると、呼び出し番号の記載された紙がプリントされる。それをセルフレジで読み込ませて会計を行う。
券売機1台で済むプロセスを2台の端末に分けて行っている。一瞬戸惑ってしまった……。とにかくここは2台の端末を操作する必要があるので、その点に注意して頂きたい。
・突然ですが、問題です!
会計を済ませて席につくと、いきなり机に「問題です。」と貼り付けてあった。なになに……。
「松屋の豆腐はこだわりの「自社製」。なめらかな食感を仕上げる決め手は、〇〇℃仕上げの加熱! さて何度でしょう…?」
わかんねえよ! もう少しとっつきやすい問題があったでしょうに。「松屋は創業何年でしょう?」とか「本社はどこにあるでしょう?」とかね。豆腐の温度なんか、わからないよ……。
ちなみに答えは記載されたQRコードを読み取って確認することができる。「93.7度」だそうです。ノーヒントで答えられる人はいないでしょうに……。
・美味しいとこ取り
クイズに舌を巻いていたら、注文番号を呼び出されたので取りに行く。今回注文したのは、松のやの「鬼おろしポン酢ロースかつ定食」(オープン記念価格税込500円)と、松屋の「ごろごろ煮込みチキンカレー」(ソース単品 税込560円)である。異なるブランドの商品を同時に味わえるのが、併設店の良いところだよね。
通常税込690円の定食が500円で食えるなんて、めっちゃお得!
松のやは、セカンドブランドとして大成功しているよね。数年前まで数えるほどしかお店がなかったのに、気づけば全国約300店舗。近頃は松屋よりも名前を聞く機会が増えたかもなあ。
そして伝家の宝刀「ごろチキ」である。もはや説明不要、松屋のヒットメニューだ。
私はごろチキ信者ではない。盲目的にごろチキをうやまう気持ちはサラサラないのだが、久しぶりに食うとウマいね。のぼせ上るほどではないけど、外さない美味しさであることは認めよう。
ロースかつをつまみつつ、ごろチキの美味しさにも浸ることができる。ステーキ屋松の肉も一緒に味わえたら良いんだけど、2階にオープンするから、さすがに同時に食うことは難しそうだ。それでも3ブランドの味を1カ所で味わえるのは素晴らしい。
ちなみにこの松屋食堂は北区にも出店しているらしい。この調子で三位一体店舗を増やして行くのだろうか? 牛めしの松屋はすでに牛めしだけの松屋ではなくなったようだ。競合の吉野家・すき家が今後どう出るのか、気になるところである。
・今回訪問した店舗の情報
店名 松屋明大前店(松のや・マイカリー食堂併設)
住所 東京都世田谷区松原1-36-7 TRN明大前 1F
時間 24時間(松のや・マイカリー食堂は8~22時)