1970年、小学館の学年別雑誌で連載をスタートした『ドラえもん』。2020年は登場50周年の「ドラえもんイヤー」としてさまざまな企画が行われたことも記憶に新しい。その余韻、まだまだ続いているぞ。

昨年末に発行されたドラえもん50周年特別増刊 『のび太くん』。小学館らしく「ふろくつき」なのだが、そのチョイスといい、各所で見られるこだわりといい、いろんな意味でエモい。そして最後に気づいて「あっ」となった価格の謎……! 順を追ってご紹介したい。


・ドラえもん50周年特別増刊 『のび太くん』

正確には小学館の子ども向け雑誌『てれびくん』1月号増刊。ドラえもんではなく、のび太に焦点をあてている。

雑誌部分とふろくは背表紙で接着されているが、雑誌だけ簡単に取り外せる。1冊まるごと「のび太特集」で読み応え十分。のび太の誕生日である8月7日を「“やな日” と覚えよう!」など、豆知識が満載だ。

本誌とドッキングしたボックスの中には豪華8大ふろく入り。ここで一挙ご紹介。


・のび太の100点プリントハンカチ

のび太が人生でたった1度だけとった100点の答案を完全再現してハンカチに。これ、もう一世一代の勝負ハンカチだな。本誌にも「全受験生必携の最強ラッキーアイテム」とある。大判でしっかりしたタオル生地。

ちなみに、いつも0点をとっているイメージののび太だけれど、本人にいわせると0点は「5回に1回の割合」なんだって。


・なりきりペーパークラフト のび太のイケ面

しずかちゃんのハートを射止めるため、イラスト上手な五郎くんに顔を書きかえてもらったのび太。ペーパークラフトの組み立ては簡単で、直感的に作れる。ちゃんとメガネが別パーツになっているなど芸が細かい。


誰だ、おまえ。


・なりきりペーパークラフト のび太のショックガン

こちらも「なりきり」アイテム、大長編『のび太の宇宙開拓史』に出てくるショックガン。のび太はあやとりの達人であるほかに、射撃の名手でもある。いざというときには戦える男、のび太。


・ひみつ道具ペーパークラフト 100年後のおかしの箱

自動販売タイムマシンで昔の商品を仕入れて転売し、一攫千金をもくろんだのび太。今でいう転売ヤーの先駆けだ。その利益でお取り寄せした100年後のおかしを再現。キラキラ厚紙の小物入れになっている。


・2021年の目標を誓え! のび太の誓いスタンド

今年の目標を決めて誓いを立てるスタンド。誓い用紙2枚入り。生きた恐竜をスネ夫に見せられなかったら「鼻でスパゲッティ食べてみせる!」と豪語してしまったシーンだ。鼻から胃カメラを通せるくらいだから不可能ではないだろうが……相当痛いと思うので、不退転の覚悟で取り組もう。


・野比流あやとり 初段あやとりのひも

もったいぶった袋入りの、ただのひも……ではない。ひみつ道具「家元かんばん」で、あやとりの家元になったのび太。初心者は白ひも、初段以上は黒ひもを授かるのだ。ありがたく拝受せよ。本誌には「野比流あやとり講座」つき。


・ドラえもんとのび太の人生ゲーム

タカラトミーからは本物の「ドラえもん人生ゲーム」が出ているが、ふろくもなかなか。お金ではなく「ノビタポイント」を集めてしずかちゃんとの結婚を目指す。

チート的な「ひみつ道具カード」もある。ただし、ゴールまであとわずかの「プロポーズゾーン」内ではひみつ道具カードは使えない。成長したのび太が自分の力だけで困難を乗り越える胸アツ展開なのだ。

未来に帰るドラえもんを安心させる「さようなら、ドラえもんゾーン」や、年中無休のドラえもんに休日をプレゼントする「ドラえもんに休日を!! ゾーン」など、名エピソードが再現されている。


・感動ペーパークラフト ドラえもんの去り際ジオラマ

最後に目玉ふろく「ドラえもんの去り際ジオラマ」を組み立てていこう。てんとう虫コミックス6巻「さようなら、ドラえもん」をもとにしている。

切り込みに部品を差し込んでいくだけで、キャラクターや家具を作れる。イスの支柱など、固い部分には付属のストローを使う。

窓の外の風景が3パターンあって切り替えられる。どうやって使うかというと……


まずは夜のシーン。眠っているのび太をドラえもんが見守っている。涙は流しているけれど、のび太の成長を見届けて嬉しそうだ。

早朝のシーン。窓から朝日が射し込んでいる。まだ寝ているのび太の布団が、肩まで引き上げられている。ドラえもんはどこにもいない。

昼のシーン。起きてドラえもんの旅立ちを理解したのび太。机の引き出しは空っぽで、もうタイムマシンがないことがわかる。のび太の顔は、寂しさをたたえながらもどこか満足げだ。

うわ、ダメ……泣けてくる。実際には連載は続いていくが、「さようなら、ドラえもん」はストーリー上の「最終回」ともされている。

本誌にも解説があるのだが、ドラえもんは幼児誌『よいこ』から『小学四年生』まで6誌同時連載として始まった。第1話や連載終了回にも複数パターンが存在しているため、どれが「本当の最終回」かは意見の分かれるところだが、号泣必至の名エピソードであることは間違いない。


・価格に込められた秘密

ところで、この雑誌の価格は税込2112円。2112……2112……どこかで見た数字だが……


ド、ドラえもんの誕生年ー!!


完敗だ。本誌は子どもでも読めるよう、ふりがなつきのページも多いが、初代編集者が語る誕生秘話など大人向けの特集もある。というか、むしろ大人に買って欲しい。

のび太の成長を願うドラえもんの親心、ドジで落ちこぼれながらも心優しいのび太の魅力、楽しかった子ども時代への郷愁などは、大人にこそ刺さるポイント。永久保存版の1冊である。


参考リンク:ドラえもんチャンネル小学館
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
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