2020年が終わろうとしている。今年は「自粛」が求められた1年だったように思う。生来の出不精でありインドアを重んじる筆者にとっては、日頃の暮らしぶりに「ステイホーム」と名が付いたようなものだったので極めて順応しやすかったが、一方でライターとしての活動の幅は去年よりも狭まってしまった。

とはいえ、1つ1つの記事に熱意と心血とやたら間延びした執筆時間を注いだことは確かだ。そんな今年書いた記事の中から「お気に入りの5選」をまとめてみたので、厚かましくもご紹介していきたい。

コーヒーをほぼ飲んだことがない三十路の男が初めて “コンビニコーヒー” を買ってみる / ファミマ、ローソン、セブンの中で最も「コーヒー初心者向け」に感じたのは…

まず1本目は、まともにコーヒーを飲んだことがない三十路の男がコンビニコーヒーに初挑戦した記事である。タイトルの時点で何のドラマも予感させないこの記事だが、実はコーヒーをきっかけに国家全体を巻き込む騒動に発展していく──わけもなく、実際に何事も起きない。

しかし筆者としては大きなステップアップを果たせたと感じている。コーヒーの買い方を学ぶことから始まり、コーヒーの美味しさにも触れることができた。知らなかったことを知っていけば、ゆくゆくは全知全能になれる──わけもないが、人生は少し充実する。


【折りドラゴン】超難易度の「心が折れるおりがみシリーズ」に挑んでみたら、心が折れた

そして人生を充実させるのは、ポジティブな体験ばかりではない。辛く苦しい出来事もまた、後から振り返ってみれば彩りとなりえる。そう自分に言い聞かせるものの、この記事を彩りと呼ぶかどうかはまだ決めかねている。何故ならとても辛かったからである。思い出したくないからである。

「好奇心は猫を殺す」と言うが、同時に「難易度の高い折り紙は人間の精神を壊す」のである。軽々しく挑んではいけない。挑めば筆者のように挫折する。折り紙というものから連想する平和なイメージとはかけ離れた、辛酸と血涙にまみれた世界を体験したい方にはお勧めである。

ちなみに同記事は「いつかこの折り紙を完成させられる日が来るだろうか」的な文章で結ばれているが、現状を報告するなら当該折り紙は自室の奥深くでこんこんと眠っており、日の目を浴びる気配がない。とても辛かったので仕方ない。


【テレワーク】「ZoomなどWeb会議用の背景画像」で個人的に気になったもの5選

「5選記事」の中で「5選記事」を挙げるというマトリョーシカ的行為は禁忌に当たるかもしれないが許してほしい。テレワークの推進に伴ってWeb会議用の背景画像についての話題が増え、それを受けて有名企業などが個性豊かなオリジナルの背景画像を配布し始めるという流れは、個人的に大変興味深かった。

こういった状況下でなければ生まれなかったムーブメントだと思うし、こんなプチブームが起こるなんて想像もしなかった。1年前の自分に「来年はZoom等を利用したWeb会議用の背景画像が一定の流行を見せるよ」と伝えても「は?」と返されるのが関の山だろう。人間の持つ創造性にはつくづく驚かされる。


日清のラーメンデリバリーサービス「RAMEN EX」を利用してみたら、震えるほど先進的だった

「こういった状況下」という話なら、この記事も外せない。今年はラーメンのデリバリーにひたすらずっぽりしこたまお世話になった1年だったが、とりわけ印象に残っているのが日清提供のサービス「RAMEN EX」である。

他のラーメンデリバリーと比べて、レンジで温めた時の出来立て具合がすさまじかった。段違いだったと言っていい。麺もスープも実店舗で出されるものと変わらないクオリティで、感動に震えながら食べたのを覚えている。まるで魔法のようだと。

日清の技術力はすごい。革命的なサービスを作り出してくれた。確実にラーメン界の未来を変えている。そのうちお金を払うだけで出来立てのラーメンを食べられるような施設を作ってくれるかもしれない。いやそれはただのラーメン屋かもしれない。とにかく頭がおかしくなるほどの衝撃だった。


西友の「杏仁豆腐 みかん」が信じられないくらい美味しいので皆さんに知っていただきたい

最後に取り上げるのは、「西友の杏仁豆腐」記事だ。「何故この記事を?」と思われるかもしれないが、それもそのはず、こちらとしても同記事に関しては何か思い出があるわけではない。「全人類に西友の杏仁豆腐を食べる義務がある」という想いが今なお強いので、再度ここでアピールしたいだけである。

アピールといっても、書くことは1つだ。美味しいので食べてほしい。筆者が見る限り、まだ全人類は食べていないようなので食べてほしい。全人類を相手取るのは正直無謀だとわかっているが、その意気を買ってほしい。ついでに杏仁豆腐も買ってほしい。以上である。


というわけで、ここまで「お気に入りの5選」をご覧いただいたが、いかがだっただろうか。冒頭でも書いた通り、どの記事にも心を込めたことは確かだ。まだ読んでいない方は、死ぬほど暇で他にやることがない時に薄目で読み流してみてほしい。

それにしても、2021年はどんな年になるのだろうか。初めてのことに挑戦したり、時には心が折れたり、過去の自分に伝えたくなるような出来事に出会ったり、革命的なサービスに触れたり、美味しい物を食べたり……来年もそんな風に過ごせればと思う。それでは皆さん、良いお年を。

執筆:西本大紀
Photo:Rocketnews24.