100円でこんなものまで!? 私(中澤)が衝撃を受けたのは釣り竿を探していた時。なんと、大手100円ショップ「DAISO(ダイソー)」で釣り竿が売っていたのである

普通1万円くらいするものが税抜き100円。お得すぎるだろ。しかし、これって雰囲気じゃなくガチで魚が釣れるんだろうか。そこで東京湾の釣りスポットに全力アタックしてみたぞ! アホの上司が

・Yoshioという男

まず、私がなぜ釣り竿を探していたのかと言うと、ある日ロケットニュース24の創設者であり上司のYoshioが3万円を突き出しこう言ってきたからだ。


Yoshio「新鮮な魚が食いたいから釣り竿買ってきてくんない?」


──Yoshioはアホで知られている。小6の算数のテストで33点しか取れなかったのは以前の記事でお伝えした通り。そんなYoshioなので、「新鮮な魚を食べたい→釣るしかない」という飛躍はあえてスルーしよう。いちいち突っ込んでいると疲れるだけだ。そこで私は次のように答えた。


中澤「っていうか、ちょっと釣りするなら1万円以内の竿で十分なのでは?」


Yoshio「俺レベルになると、3万以上の釣り竿じゃないと竿の方がもたないんだよね」


──ウゼェェェエエエ! そんなに釣り竿が欲しいなら買ってきてやろうじゃないか。100均の釣り竿をな。残り2万9890円を懐に入れつつ、税抜き100円の釣り竿をYoshioに渡してみたところ……

Yoshio「DAISOって書いてるけど……」


中澤「まさかとは思いますけど、ブランド釣り竿『DAISO』をご存知ない?」


Yoshio「ブランド釣り竿……?」


中澤「普通の釣り竿と違って竹でできてるでしょ? しかも、取り外してコンパクトにできるから持ち運びも便利で大人気なんですよ! リールがついてないのは限定版です。本来なら100万円ですが97%オフで3万円でした



Yoshio「スゲェ!」

アホで良かった


……と思ったのもつかの間。自信をつけたYoshioは編集部を飛び出して行ってしまった。リールすらついていない100均の釣り竿を肩に。心配なので後を追いかけ様子を見ることにした。


・本気のYoshio

Yoshioがやって来たのは、豊洲にある「豊洲ぐるり公園」。公園の奥には東京湾が開けておりロケーション抜群だ。


そんな東京湾沿いの遊歩道には釣り人たちが並んでいる。どうやら、この辺ではなかなかの釣りスポットとなっているようだ。

さっそく、道すがら購入した餌を針につけるYoshio。その目は真剣そのものである。ここに至って「釣り竿が実は100円でした」と打ち明けるのも無粋な気がしたので黙っておくことにした

東京湾の、しかもこんなコンクリートで固められた都会の岸に魚がいるのかと疑問だったのだが、海の中には普通に魚が泳いでいる。それどころか魚群の影も見えるではないか。魚群に向かって慎重に糸を垂らすYoshio。と、その時


凄まじい速さで魚が食いついた!


まさか釣れるのか!?


と思いきや、餌だけ取られてしまった

なかなか狡猾な東京湾の魚。だが、逆に言うと、魚がいるポイントに針が届いているということだ。100均の釣り竿でも戦える……かもしれない。Yoshioの目に一層真剣な光が灯る。ガチで釣る気だ。しかし……


シーン

食いついたのは最初の一発のみで、その後1時間以上音沙汰なし。まあ、正直釣りってこんなもんだとも思うが、隣の人は普通に釣っているため、このスポットがダメということはないだろう。

・信じがたい光景

そこで隣の人にコツを聞いてみたところ、ここの魚はサッパが多いので、餌のゴカイは2cmくらいに切った方が良いのだとか。そのまま針につけていた我々。さっそく、短くしたゴカイをつけて糸を垂らしてみるが……釣れんなあ……。

無言の時間。さすがにYoshioももう気づいたのではないだろうか? 新鮮な魚が食べたいなら鮮魚の料理店に行った方が早いと。だがしかし! 振り向いた瞬間、信じがたい光景が私の目に飛び込んできたのである!! マジかよ……


楽しそうにしてやがる

魚が餌に食いついた一発目を反芻して「また来ないかなあ」とキャッキャキャッキャしているYoshio。冷静に考えたら、我々は仕事中に出てきた身なので、釣れそうにないと分かった時点で帰るべきだが、釣りに夢中でそんなことはすっかり忘れているようだ。クッ、まさかここまでとは

しかし、恐るべきことにこんな男でも部下がいるというではないか。バカな!? 誰がこんなアホの下で働くというんだ!? 何を隠そう、私である

もはや、休日のお父さんと化しているYoshio。その表情は完全に仕事中であることを忘れている。そしてついには……


インスタに投稿したァァァアアアッ


全く釣れてないのに! Yoshioは満足して帰っていった。そして、魚は釣れなかったが、私の手元には釣り竿のおつり2万9890円が。これぞウィン・ウィン。この一連の出来事を経て、私はしみじみと思った。


ナントカとハサミは使いようとはよく言ったものである……と。


<完>


Report:中澤星児
Photo:Rocketnews24.