“アフリカ大陸” と聞けば怖そうなイメージを持つ人もいるかもしれないが、モロッコは本当にイイところだ。おまけにイイ人が多い。この日も市場を見つけ、散策していた私にアチコチから「ビューティアジアンガール」の呼び声が……ンモ〜! サンキュ☆

あんまり愉快でのどが渇いたから辺りを見渡すと、市場の向かいにカフェらしき建物がある。カフェが多いモロッコでは甘いミントティーが定番だ。しかし今日のカフェは何やら様子がおかしい……遠目からでも ”インチキくさいオーラ” をビンビンと感じるぞ。

・どっちなのか

恐る恐る建物に近づけば、看板には『iPhone Coffee』と書かれているように見える。『アディドス』『ポナソニック』などと同様の「よ〜く見れば微妙に違うパターン」かもと目を凝らすが……やはり何度見たって堂々『iPhone』と表記されとるのだ。

いや、待てよ……「アイフォンコーヒー」と続けて読むのが間違いという可能性もあるな。意外とモロッコでは “スマホとコーヒーを売る店” ってのが普通なのかもしれないし。固定観念、よくないよ!

しかし看板に描かれたイラストに目をやると……


「かじったリンゴ形のカップにスティーブ・ジョブズ風男性のラテアート」……!


・たぶんクロ

やはり『iPhone Coffee』はカフェで間違いないらしい。そして恐らくiPhoneとは “あのiPhone” のことだ。まさかとは思うがAppleの公式カフェか? 記者としてiPhoneユーザーとして、体験しておかねば一生後悔するに違いない。

かくして潜入した店内は、立地の割にはずいぶん綺麗なごく普通のカフェだ。

日本と明らかに異なるのは客が全員一方向を向き、壁にかけられた小さいテレビから流れるサッカーチャンネルを熱心に見つめている点だろうか。海外の人って本当にサッカーが大好きだよね……あっ、すいませ〜んアイフォンコーヒーひとつ!


・イラストと異なりすぎる件

しばらくして運ばれてきたコーヒーの衝撃度は、私の予想を遥かに超えるものだった。そのビジュアルとは……



普通のコーヒー!!!!!


ラテアートが浮かび上がるかと、水面をしばし見つめても変化はない。

横から見ても同じだ。

スプーンやカップにもiPhoneを連想させる仕掛けはなさそう。

カップの底に何かが沈んでいるワケもない……。


・責任者を呼んでくれ

たしかに看板イラストと同じモノが提供される可能性は低かった。それでも私は、いくらなんでも何かしらの “iPhoneを連想させるモノ” が登場すると思っていたのだ。普通何かあるだろ? せめておぼん代わりにiPhoneを使うとか……ってかコーヒーどころか店内にアップルマークのひとつも見当たらねぇ……。

店員は英語が一切喋れない様子だったので、私はオーナーの男性を呼んでもらうことにした。ちなみに『iPhoneコーヒー』は非常においしかったうえに店員達のマナーもよく、店に文句があるわけでは決してない。ただ店名の由来を聞いておかねば一生後悔すると思ったのだ。


Why なぜに……この店は『iPhone Coffee』なのですか?



オーナー「なぜって、iPhoneは最高だからさ!」


・そりゃそうだ

オーナーの清々しい笑顔を前に、私はこれまでiPhoneの表面的な部分しか見ていなかった自分を恥じた。ひょっとして店名の根底には「iPhoneのように最高なコーヒーを作りたい」というオーナーの情熱が潜んでいるのではないだろうか?

確かにiPhoneは素晴らしいものだ。iPhoneをただのスマホではなく “iPhoneという概念” と捉えてみたとき、このコーヒーは『iPhoneコーヒー』と言えるのかもしれない。

ちなみにオーナーに使用しているスマホを聞いたら「もちろんiPhone」との答えだ! よかった…………!

『iPhone Coffee』の所在地はタンジェの中心部から歩いて1時間ほど。「Marché De Proximité Hay Ben Kirane」という市場の真ん前だ。モロッコを訪れた際は立ち寄ってみれば “iPhoneという概念” を感じられるかも?

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

▼iPhoneコーヒーに軽食も付いてお会計は12ディルハム(約350円)

▼モロッコで飲むミントティーはメチャおいしい

▼市場は活気があって最高!