
「枯山水」……その名のとおり水を一切使わず、砂や石だけで山河を表現する日本伝統の庭園様式。波や水流は、砂紋(さもん)と呼ばれる砂利の模様で表現する。そんな枯山水をわずか500円のお菓子で作れるキットがあるというから驚いた。
寺院の砂紋引きは修行の一環だというし、お菓子とはいえ集中して庭を作る作業は心の平安に効果がありそうだ。少しでも俗世を離れ、人間として成長したいという思いから作ってみたのでご紹介しよう。
・おかしで作る枯山水(税込540円)
それではさっそく作業開始。商品は「枯山水」と「日本庭園」の2パターンある。
開封すると、材料の小袋と道具が入っている。主な材料はラムネだ。実際は紙だが、桐箱を思わせる高級感のある外枠が好印象。
ミニチュアサイズのレーキ。これで砂紋を作る。
まずはマグカップで水と粉を混ぜ、岩を作る。ラムネの粉っぽい感じもあって、本当に砂岩のような見た目になる。
型にギュギュッと押し込んで、冷蔵庫でしばし寝かせる。
その間に白砂の用意。ラムネを枠にあける。
スッと鼻を抜けるような爽やかなラムネの匂いが広がり、思わず深呼吸してしまう。筆者はラムネが大好きだ。この匂いが嫌いな人なんている?
レーキの背を使って平らにするよう書いてあったが、両手で箱を持って左右にザザッと振るほうが早い。
……はっ! こうやって効率ばかり追求することが、禅の精神に反しているんじゃないか? さっそく己の短絡的な行動を反省した。
冷蔵庫で固めた岩を取り出す。リアルにできている。
崩れやすいのでそーっと配置して
いよいよ精神統一して砂紋を描く。レーキを浅くあて、一筆書きのように書くと綺麗だ。迷いのない線を描くのは結構難しい。
最初の一筆は、レーキを深く刺したせいでラムネが盛り上がってしまい、岩の周囲が汚くなった。
チョコレートの小岩で囲ってごまかそう。
……はっ! またいつもの “ごまかし癖” が出てしまった。最終的に「それっぽく見えればいい」という浅はかな考えに再び反省。
心のおもむくままに小岩を配置したら完成。なんだかバランスが悪いがこれが精一杯である。
・おかしで作る日本庭園(税込540円)
続いて、日本庭園を作っていく。白砂の部分は同じなのだが、池を作るところが大きく違う。パッケージ写真からは作り方が想像できず興味津々だ。
池作り開始。マグカップに粉と水を入れてよく混ぜ、電子レンジで40秒加熱。
トロトロになった液体を型に流し込んで、冷蔵庫で冷やす。
30分後、少し気泡が入って濁ってしまったけれど、透明なゼリーができた!
型から外しやすくするために、爪楊枝でヘリに空気を入れるよう書いてあるのだが、面倒なので試しに傾けてみたら自重で外れそう。よしよし。
……はっ! また「適当」とか「省略」とか「まぁいっか」とか自分に都合のいい言葉に飛びついてしまった。これでは悟りの境地になどたどり着けるはずがない。猛省。
固まったゼリーを本物の鯉が印刷されたシートに貼り付ける……
するとどうでしょう! 本当に池の水みたい!
気泡が入って失敗したかな〜と思ったところが、むしろ水中のあぶくのようでリアル。これは素晴らしいアイディア!
あとは「枯山水」と同じように白砂のラムネを敷き詰めて……
砂紋を描いたら、完成!
・美術品のような美しさ
こ、これはお菓子とは思えない美しさ!
特に池は水音が聞こえてくるようで、命の息吹を感じる。
素晴らしい完成度で、いつまでも手元に置いて愛でていたい。目の前に本物の日本庭園が広がっているみたいだ。
だが、見た目にだまされてはいけない。これはお菓子。現に「早めにお召し上がりください」と書いてある。
諸行無常。形あるものはいつかなくなる。本物の砂紋も、スズメが遊びに来ただけで崩れる繊細なものだというではないか。「いずれなくなるから美しい」とも言える。
というわけで食べます。
う・ま・い!!
白砂の部分はラムネの粉そのもの。口の中の水分が一気に持っていかれる。
岩と一緒に食べると、チョコレートの甘さとラムネの酸っぱさのマリアージュ。
子ども時代、駄菓子屋ではこういった粉ラムネばかり買っていた。スプーンが止まらない。ラムネには確実に中毒性があるな。(※個人の感想です。特にラムネが好きではない人にはこのような感激はないかもしれませんが悪しからず。)
・お土産にもオススメ
禅の精神を会得できたか、と言われれば答えはノーだが、とにかく完成品が美しく、食べても美味しいアイディア商品。大人が楽しめる知的なお菓子だった。
普段から「森永ラムネ」を手元に置いて仕事をすることも多いのだが、「粉のまま」のラムネを思いっきり食べられる機会はしばらくなかったため、大変に満足である。英語の説明書きもあったのでお土産にもオススメ。禅に興味がある人もラムネ好きもぜひお試しあれ!
参考リンク:株式会社ハート
Report:冨樫さや
Photo:RocketNews24.
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冨樫さや






























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