最初に大事なことを言うならば、ガイドブックで「気取らぬ雰囲気のレストラン」と書かれていたとしても、ドレスコードが無いとは限らない──ってことだ。運が悪いと、お店の人から「お客様、その服装では……」と言われる展開になるから、事前に確認しておいた方がいい。もしもあなたが、ドレスコードの存在する国(地域)のレストランに行くのならば。

確認を怠った場合、「入店拒否」の憂き目にあうかもしれない。そうなったら……切な〜い気持ちになるぞ。だから確認大事! 「もしかしてドレスコードあり?」と思ったら、面倒だけど事前に電話するなり宿の人に聞くなりして、きっちり調べておこう。それから……

「気取らぬ雰囲気のレストラン」だからといって、気取らない格好で行っていいとは限らないってことも肝に命じておく必要がある。そこを誤解してはいけない。雰囲気と格好は別だ。一緒にするな。

たしかに、「気取らない雰囲気」とあれば、ある程度カジュアルな格好で行っても大丈夫だろう。ただ、「カジュアルな格好」のラインは人によって異なるから、“オレ基準” で判断するのは極めて危険。たとえば、個人的に気取らない格好というと、短パン&Tシャツ、サンダルだと思っているが、人(もしくは場所)によってはポロシャツにチノパン、スニーカーあたりかもしれない。

そのあたりの差を私が認識していなかったことも、入店拒否を食らった要因の1つ。よって、基準の “ばらけ” に気をつけた方がいい。自分だけラインを下げすぎてないか、注意しておく必要がある。

──と、今回の体験から学んだ教訓を先にお伝えしたところで、もう少し具体的に説明しておきたい。


・北イタリアの「気取らない雰囲気のトラットリア」

そのレストラン(トラットリア)は北イタリアにあり、ガイドブックでは「気取らない雰囲気」と紹介されていた。もしかして自分の読み間違いかもしれないと思ったので改めて確認したが、たしかにそう書かれている。そこは間違っていない。


ここでガイドブックの名誉のために言っておきたいが、「気取らない雰囲気」は決して嘘ではなかった。私が自分の目で見た範囲では、たしかに気取ってない……とも取れた。まぁ見たと言っても店内に入ってから店を出るまでの時間は短かったので、じっくり観察できたわけではないが、パッと見たところ客層的にはこんな感じだ。


【客層】

・スーツやドレスでバッチリ決めているグループ → 少々
・襟つきのシャツ or ジャケットのグループ→ 多め
・TシャツにGパンのグループ → 少々


バリバリのフォーマルなレストランともなれば、スーツ or ドレス姿の人が多数を占めるだろう。そのような店に比べれば、私が行った(正確には行こうとした)店は十分にカジュアルである。だから、記載されていた「気取らない雰囲気」は嘘ではない。

しかしながら、ガイドブックの制作者と私の “気取らない雰囲気のライン” がズレまくっていたのは否めない。そしておそらく、“カジュアルな格好” のラインもズレまくっていたのだろう。制作者がセンターサークルあたりに “カジュアルな格好” のラインをキープしていたとしたら、私は自陣のゴールキーパー近くまで下げていたように思う。

当然、失点(入店拒否)をくらう。ボコボコだ。だが、あまりにも致命的なミスだったから、店の受付スタッフが近づいてきて「その服装では入れません」と告げたとき、私は逆に安心した。なにせ店に入った瞬間、子供の授業参観にパジャマで行ってしまった父親のような気分になったからね。

「タオルを投げてくれてありがとう!」と思ったくらい。だから、私が店に不満を抱いているわけではない。むしろ、店の対応は当然だと思うし、ドレスコードの有無について調べていなかった自分が100%悪いと感じている。

・カジュアルのラインについて

ただ……1つ思うのは、読者の中にも私と同じ位置にカジュアルのラインをキープしてる人が結構いるのではないか? ってことだ。どうだろう? 私の格好を見てどう思う? 

もし、「いくら “気取らない雰囲気” と書かれているとはいえ、そんな格好でイタリアのレストランに行くなんてありえない!」と思っているなら、あなたは何の問題ないだろう。

しかし、「その格好の何が悪いの?」と思っているのなら……危険だ。私と同じ切なさを味わう羽目になりかねない。そうならないために、今のうちに「人によって、または場所によってカジュアルのラインが変わる」ってことを心に刻みつけておいた方がいい。まぁ、すごく乱暴に言うならば……


カジュアルのライン、下がりすぎぃぃぃぃぃいいい! ライン、上げろぉぉぉぉぉぉおおおおお!


──ってことである。

Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.

▼私がレストランに行った格好がこちら。今にして思えば、明らかにラインが下がりすぎていた

▼店員さんによると、短パンとサンダルが問題だったらしい

▼ちなみに、このTシャツ5枚持ってます