夏に中国を旅行中のこと。日本食が恋しくなった私は近くのすき家へ駆け込んだ。日系外食チェーンの中国進出はめざましく、おなじみの店舗を簡単に見つけることができるのである。麻辣、香辣、火辣などなど中国っぽい牛丼メニューが並ぶなか、日本食を欲している私にはスタンダードな『牛丼』一択! と、思いきや……

『大阪焼風味牛丼』(22元/約340円)なる珍メニューを発見し、フラフラと注文してしまった。牛丼の上に生キャベツのみじん切り、ソースにマヨネーズ、かつお節と青のりが乗っている。そういえば「大阪焼」と聞いて日本人の私は即座に「お好み焼きだな」と判断したけれど、中国においても「大阪焼=お好み焼き」の方程式は成り立つのだろうか?

・衝撃的な中毒性


ただでさえ味の濃い牛丼の上にソースとマヨぶっかけ、という暴挙である。「上品な薄味でないことだけは確かだろう」そう思いながら食べてみると……うん。やはり下品で濃厚な味わいだ。まさにジャンク。“牛丼にソースとマヨぶっかけた味”としか言いようがない。しかし……



下品で濃厚で超ジャンクなのに……なぜだろう。「悪くない」と思っちゃってる自分がいる。


「悪くない」が「好きかも」へ変わるのに時間はかからなかった。私は本来このようなジャンクフードを好むタイプではない。自分でも分からない。でも止められないこの想い……ヤンキーに恋しちゃう女子中学生の気持ちが今なら分かる気がする。

なぜこんなにウマいのだろう? そう考えるうち、「これはむしろ“牛丼風お好み焼き”なのではないか」と悟るに至った。米入りのお好み焼きだと思えば全然ジャンクじゃない。結局中国滞在中に3回も食した『大阪焼風味牛丼』との別れは辛かった。


・日本で発売しとるやないかーい

日本へ帰国後、悲しみに暮れながら東京の街を歩いていた私。ふと通りかかったすき家に目をやると……見慣れたメニューが「発売中」とあり、マジでひっくり返りそうになる。


『お好み牛玉丼』……!


似てる。似てるぞ……ってか同じだろうコレは。『大阪焼風味牛丼』と激似メニューの『お好み牛玉丼』を、並べて食べ比べたわけではない。だが私の舌が記憶する限り、おそらく味は同じである。唯一の違いは中国の温玉に対して日本では生卵なことくらいか。

実は『お好み牛玉丼』は以前期間限定で発売されたことがあったらしく、今回は「限定復活」とのこと。復活したということは、日本にも私のような支持者がいるということである。さらに中国ではレギュラーメニューであることを考えると、中国人により強く好まれているといえそうだ。理由は分からないけれど。

・もう2度と離れたくないから

早すぎる再会を喜んだ私はひと夏の間『お好み牛玉丼』を大いに味わった。しかし販売期間は無情にも10月中旬まで。中国へ行けばまた食べられるとはいえ、できることならもっと手軽に入手したい。

と、なれば自作するしかないだろう。用意する材料は以下のとおりだ。


・すき家の牛丼
・キャベツ
・お好み焼き用ソース
・マヨネーズ
・生卵
・かつお節
・青のり



まず刻んだキャベツ適量を牛丼に乗せたなら……



ソースとマヨ……



生卵にかつお節、青のりをお好みで振りかければ……


あっさり完成! メチャ簡単! 本物の『お好み牛玉丼』と並べても見分けがつかない仕上がりだ!


・世紀の凡ミス

ところが実際出来上がったものを食べてみると……本物とは明らかに味が違うのである。キャベツの生っぽさ、マヨの量などは適切だというのに。

悩むまでもなく、違うのは「ソースの味」なのだった。


今回なんとなく購入したのは近所のナチュラルローソンで売られていたお好みソースである。恥ずかしながら私は30余年の人生で、お好み焼き用のソースにこれほども味の違いがあることを知らなかったのだ。なんてこった……「すき家の秘伝ソース」を出されたら再現なんて不可能じゃねぇかよ……!

途方に暮れつつ、あわよくば成分でも公開されていないかとネットで調べてみることに。すると……そこには衝撃的な「答え」が記されていたのである。


正解はズバリ『オタフクソース』と公表されていました!


・あるいは可能性への挑戦

とんでもない凡ミスにより再現チャレンジは失敗に終わってしまった。しかし、だからといって完成品がマズかったわけではない。本物に比べると甘さ控えめな大人の味。むしろこちらのほうが好きだという人も普通にいる気がする。

ひとまず販売終了後も『すき家のお好み牛玉丼』を食べたい! というファンの方へは、上記レシピでかなり忠実に再現が可能であることをご報告しておこう。ただしソースだけは絶対に「オタフク」をチョイスしなきゃダメだ。

その上でさらにコアなファンは「本家超え」のオリジナル牛玉丼作成にチャレンジしてみてほしい。お好み焼き用ソースは様々なメーカーから発売されているので、自分の好みがきっと見つかるはずである。さぁ……ともに「お好み牛玉丼界」を盛り上げていこうぜ!

Report:亀沢郁奈
Photo:RocketNews24.

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▼左が本物、右が自作