ドライバーなら当然ご存じだろうが、車の空調には「内気循環」「外気導入」の二つがある。簡単に言うと外気を導入するか遮断するかの違いで、スイッチでの切り替えが可能だ。しかし、どちらにしておくのが正解なのかと聞かれると少々悩んでしまう。気分じゃね? ではさすがに済まないだろう。

ありがたいことにJAF(日本自動車連盟)がこの件に関して検証を行い、その結果をホームページに公開しているぞ。「内気」にすべきか? 「外気」にすべきか? 意外と知らない人は多いはずなので、これを機に正しい知識を持っておきたいところ。

・JAFが検証

どちらかというと私(あひるねこ)は「外気」にしておくことが多いが、私の母は常に「内気」にしていた記憶がある。排気ガスや花粉が入って来るのが嫌だったのだろう。その気持ちは分からなくもない。

だが、外気を遮断したままで果たして問題はないのだろうか? そこでJAFが行ったのが、二酸化炭素と一酸化炭素、酸素などの濃度を計測できる「空気環境測定器」を車内に設置して走行するという検証だ。その際の条件を以下に書き出してみた。

・車両を2台用意して「内気循環」と「外気導入」に分け、それぞれに4人が乗車。
・車両のエアコンフィルターは新品に交換。
・エアコンはオート26度設定。
・テスト中は窓をすべて閉め、乗り降りはなし。


この状態で高速道路、郊外・山道、市街地を各1時間走行するという。同時に車内にプレパラートを置き、付着した花粉の量も調査したらしいぞ。めっちゃ気合入ってますやん。

・明確な違いが

それではさっそく検証結果を見ていきたい! と思ったが……今回は先に結論から書いてしまった方がいいだろう。それぞれ1時間走行したところ、「外気」の場合は二酸化炭素濃度が常に1000ppm前後だったのに対し、「内気」の場合は最大で6770ppmにも達したということである。ちなみにこれは市街地での話だ。

・「外気導入」でOK

データを見る限り、高速道路だろうが郊外・山道だろうが市街地だろうが、「内気」で走行した時の二酸化炭素の濃度は、「外気」の時よりもはるかに高くなっている。一時的に数値が上がった高速のトンネル内などを除き、基本的には「外気導入」にしておいた方が良いということだろうか。

他にも酸素の濃度が最大で1%近く低下したり、眠気や軽い頭痛を感じる人もいたりと、まったくもってイイトコなしの「内気循環」。花粉についても わずかな量しか確認できなかったようだ。つまり、「外気導入」でほぼ問題なし。なんてこった、一刻も早く母さんに伝えないと。

それでは最後に、東北大学大学院医工学の永富良一教授によるトドメの言葉をお聞きください。


「運転中はできるだけ『外気導入』にするか、最低でも1時間に1回は換気するといいでしょう」


・安全第一

普段は「外気導入」で走行し、トンネル内を走る時や前の車の排気ガスなどが気になる時は「内気循環」に切り替える。今回の検証結果から分かるベストな行動はこれだろう。ドライバーの皆さんはぜひ参考にしていただきたい! さらなる詳細はJAFのサイトでチェックだ。

※結果は道路状況や天候、車の車種などにより変わることがあります。

参照元:JAF
執筆:あひるねこ

▼高速道路での結果。「内気循環」で走行した車の二酸化炭素濃度は最大で4520ppm。

▼郊外・山道での結果。「内気」で走行した車の二酸化炭素濃度は最大で4730ppm。

▼市街地での結果。「内気」で走行した車の二酸化炭素濃度は最大で6770ppmで、これは「外気」と比べて約5.5倍の数値である。