奈良と言えば、鹿に大仏……! 他にもいろいろあるが、最もインパクトが大きいのがその2つであることは間違いない。なぜそんな話を始めたかと言うと、4月9日は『大仏の日』なんだって。東大寺の大仏開眼供養が行われた日らしい。

そこで大仏に関連する話を1つ。今から100年以上前、たった9年間だけ「大仏鉄道(大仏線)」という鉄道が、(現在の)京都から奈良間を走っていたことをご存じだろうか。その面影を感じられる場所がいくつか残っているので、実際に足を運んでみた。

・走っていたのはたったの9年間

『大仏鉄道』が開業したのは1898(明治31)年4月のことなので、今から120年ほど前のことだ。JR関西本線の前身である私鉄、鉄道会社「関西(かんせい)鉄道」が運行していたもので、終着地点の “大仏駅” は東大寺大仏殿の比較的最寄駅として大変にぎわったのだとか。

しかし1907(明治40)年に平坦なルートが開通したため、急坂の難所を抱える大仏鉄道は休止。同年11月に廃線となったという。つまり大仏鉄道が機能していたのは、たったの9年間。「乗ってみたかったなあ……」と思うのは記者だけではないだろう。

・かつての大仏駅あとには記念碑が

その願いは叶わないものの、当時使われていたモノを残している場所がある。例えば現在の「JR加茂駅」(京都府木津川市)周辺には、蒸気機関車の動輪一対と鉄道記念碑が設置されている。また駅西側にはランプ小屋が現存するが、ここには当時、照明や燃料となる油などを保管していたそうだ。

そして大仏駅があった場所は「大佛鐵道記念公園」(奈良県奈良市法蓮町)として、これまた動輪や記念碑が建っている。ちなみに、この公園は桜がとっても奇麗。現在の公園周辺の景観からは、鉄道が走っていた姿をまるで想像できず、逆にそこが面白い。

このほか加茂駅から大佛鐵道記念公園にかけて、いくつか大仏鉄道の遺構を確認することができる。歩いて跡をたどることも、まあ……できないことはないので興味がある人はチャレンジしてみると良いだろう。記者はしんどいので車で移動したがな。

参考リンク:幻の大仏鉄道遺構めくりマップ
Report:K.Masami
Photo:Rocketnews24.

▼現在の京都奈良間を走っていた「大仏鉄道」

▼JR加茂駅には記念碑と動輪が置いてある

▼かつて使われていたランプ小屋

▼鉄道終着地点「大仏駅」の跡は公園になっている

▼「JR加茂駅」から「大佛鐵道記念公園」間には遺構がちらほら

▼「大仏鉄道研究会」が管理している花壇

▼歩いて跡をたどれないこともない