突然だが、皆さんは1人で外食したことがあるだろうか。ほとんどの人は「ある」と答えると思うが、中には「考えられない」という人も実在する。現に先日、1人で食べることが多いと何気ない会話をしていたら「ムリ! 1人なんて絶対ムリ!」と言われることがあった。

ちょっと何言ってるか分かんないッスとも思ったが、完全否定するほど1人でご飯を食べる「ぼっち飯」は恥ずかしいことなのか。筆者(私)はむしろラクだと考えているのになんでだろう──。

・1人でご飯を食べたことがなかった

とまぁ、今ではそんな意見になったが、実を言うと「ぼっち飯に抵抗がある」時代が私にもあった。というのも、私はド田舎出身で超がつくくらい厳しい祖父と同居して育った。特に食事は厳しく、家族全員が決まった時間に揃って食べるのが決まりだった。もし破ろうものなら祖父の怒号が飛んだ。

当然ながら外食なんてもってのほか。冗談抜きで年に1回できたらいい方で、ファミレスに行けただけで嬉しかったのを覚えている。そういった生活が当たり前になっていたので、大人になってからも1人でご飯を食べる習慣がなかったのだ。「ぼっち飯=恥ずかしい」。しかし、20代前半で上京した時、その考えに変化があった。

・初のぼっち飯は松屋

恥ずかしいというか罪悪感に似たような気持ちが「ぼっち飯」にあった当時、私は誰かを誘うか、家で食べることしかできないままでいた。ただ、実家を離れて暮らしていると、いつしか1人で外食しなければいけない時は来る。

そして出先でぼっち飯を避けられない状況がやって来たワケだが、今でもその時のことは忘れていない。初めて松屋に1人で入り、料理が届くまでどんな顔をしていればいいのか分からずソワソワしていた。誰も見ていないにもかかわらず、早く食べて早く立ち去りたい気持ちから牛丼を注文したことを覚えている。今考えたらアホらしいが……。

・ぼっち飯に対する恥ずかしさは環境とリンクする?

それから何度かぼっち飯を重ねるうちにハッと気づいた。誰も自分を気にしていない。なんだか、ぼっち飯を恥ずかしいと思っていた自分が恥ずかしくなった。今となっては、ぼっち飯が逆にラク。もちろん誰かと一緒にご飯を食べるのも楽しいが、自分の好きなものを選べて時間も自由なぼっち飯は変に気を使う必要もないから疲れないのだ。



・ぼっち飯は恥ずかしくない

やったことがないと周りの視線が気になるかもだが、ぼっち飯は恥ずかしいことでも何でもない。最近では1人メニューも豊富で充実さえしているので、裏を返せばそれだけ需要があるということだろう。

ぼっち飯が恥ずかしい……そう思っている人はこれまで見えなかった新しい世界が見えるので、一度だけでもやってみるといいかもしれない。誰も自分のことなんて見ていないし、案外気楽でいいものだと気づくはずだ。

執筆:原田たかし
Photo:RocketNews24.