
入り組んだ現代社会。街を歩いていると、ひっそりと違和感が存在していることがある。なんだこれは? なぜこんなところに? 日常に埋もれて危うくスルーしそうになるけれど、よく考えたら意味不明なもの。
今回、届いたリクエストにはそんな違和感を感じた。というか、一見普通に見えたけど、現地に行ってみたらちょっと引っかかるものだったのである。そのリクエストというのは以下の内容だった。
・届いたリクエスト
「笹塚2-22付近の自販機に「金目鯛飯膳」というお茶漬けセット的な何かが売られています。660円という強気な値段設定なので、中々買う気になれないのでレビューして貰えると嬉しいです」
──金目鯛飯膳か。フード自販機も普通に街かどにあるご時世だ。お茶漬けセットが自販機で売られていることもあるかもしれない。リクエストをパッと読んだ時、私(中澤)はど冷えもん的なデカイ自販機でパックみたいなのが売られているのを想像した。
・現場に行ってみたところ
ゆえに、現地でもまずは見た目から自販機探しを始めたのだが、笹塚2-22付近にはそういう自販機がない。駅から甲州街道を渡ったこの区画は、商店街の喧騒も遠くなった閑静な住宅街だ。道行く人も家族連れが散歩的なノリでのんびり歩いていてほのぼの住みよいオーラが出ている。
自販機自体は結構設置されているけど、これらはマジで缶ジュースとペットボトルがラインナップされた普通の自販機。ここにあるのは良いところスープ缶までじゃないだろうか。と思いながらも1つ1つ見ていったところ……
あるゥゥゥウウウ! 缶ジュースの顔してシレッと「金目鯛飯膳(660円)」が並んでたァァァアアア!! いやムリムリ! そんな顔しても誤魔化せてないよ君!! ちなみに、場所は甲州街道から住宅街に入った奥まった駐車場の前でした。
・高い?
そんなわけで購入したところ、コーヒー缶くらいのサイズの蓋がついた瓶が出てきた。中にはお茶漬けの素的な袋が見える。やっぱりお茶漬けか?
編集部に持ち帰り開けてみたところ、液体スープと具材と金目鯛の切り身が出てきた。フリーズドライのフレークではなく、真空パックで切り身が入っているところは普通のお茶漬けの素より贅沢な仕様と言えるだろう。
まずは、袋の裏に書かれた食べ方に沿ってお茶漬けを作ってみた。液体スープだけに出汁茶漬け感が強めである。身もボリュームがあって、金目鯛の脂が溶けだした出汁は素材の味が前に出ていた。ゆえに、お茶漬けにはちょっとした上品さが感じられる。
一方、660円でこの一杯と考えると、高いような気がしなくもない。う~む……と思っていたら、食べ方の項目の片隅に炊き込みご飯も書かれているのを発見した。
・もう1つの食べ方
炊き込みご飯は多少手間がかかるけど、660円とちょっと二の足を踏む価格帯だけに、この缶の可能性をしっかりレビューした方が親切だろう。そんなわけで改めて笹塚に行って金目鯛飯膳をもう1個購入した。
炊き込みご飯は液体スープと身を一緒に炊いて、炊きあがったご飯に具をふりかけて混ぜる方式。米は一合分なのが、一人暮らし的にはありがたい。一合分の炊き込みご飯の素ってあんまりないよね。
・やれんのか?
ただ、お茶漬けの時の味の濃さから考えると「味ちゃんといきわたるのか?」という懸念がある。なにせ茶碗一杯の茶漬けであの味だからなあ。やれんのか? そう不安に思いながらも炊飯ボタンを押したところ、15分くらい炊いた時点で漂いだす金目鯛の香り。
素材力は感じられるが、はたして? 炊きあがってフタを開けてみたところ……
本当にやれんのか?
・食べてみた
さすがに一合はこの金目鯛の切り身には荷が重いような気がしないでもない。具をかけてみても、言うてふりかけみたいな具なので、不安は拭えない。しかし、混ぜて食べてみたところ……
驚くべきことにウマイ。金目鯛の白身魚的風味がそこはかとなく全体に漂っていて、お茶漬けの時に感じた素材力が炊き込みご飯だとより生きている。伊豆の旅館の炊き込みご飯みたいな上品さがあった。
お茶漬けの方が手軽で自販機商品っぽいけど、実は炊き込みご飯こそこの商品の真骨頂なのかもしれない。
これは確かに飯膳である。価格も含めてチャレンジ精神を感じた。
自販機の片隅で起こっていたスルーしてしまいそうなちょっとした違和感。大仰に宣伝されるものではない日常の延長。気にしないと見えない素朴な疑問。それがやがては世界を変えていくのかもしれない。世界は今日も人知れず更新されていた。というわけで、リクエストありがとうございました!
執筆:中澤星児
Photo:Rocketnews24.
[ この記事の英語版はこちら / Read in English ]
▼金目鯛の切り身が贅沢だ
▼個人的には炊き込みご飯がオススメ
中澤星児





















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