羽田空港にある吉野家と聞くと、少なからぬ人が「それって保安検査場を通過したエリアにあるの? それとも、飛行機乗らない人でも利用できるエリアにあるの?」という点が気になるかと思うので、最初にそこから触れたい。

答えは後者。その吉野家は、空港に行きさえすれば誰でも利用できるぞ。お店があるのは、国際旅客ターミナルの一般エリア4階だ。ただし、場所がちょっとややこしく……

「え? この先に本当に吉野家あんの?」というようなエリアを通る。中には迷う人もいるだろうから、最初にお店の場所をフロアマップ等でしっかり確認しておくのがいいだろう。私も「ここでいいのかな?」と不安を抱きながら進んでいったところ、見慣れたオレンジ色の看板を発見。


そして店舗前のショーケースを見たら……


見慣れぬ「高級なヤツ」が!


──『和牛 牛重』という名のそいつは、価格が1500円(税込)。値段といい、お重が使われているところといい、明らかにいつもの牛丼とは違う。国産車が並んでいるスーパーマーケットの駐車場に、1台だけフェラーリが停まっているような感じだ。

当然ながら、私が狙うのはこのフェラーリ。そこで入店後、私は気合を入れて「牛重(うしじゅう)お願いします!」と店員さんに告げたところ……!!


「ぎゅうじゅうですね〜」


──との答えが返ってきた。そうか、『うしじゅう』ではなく『ぎゅうじゅう』と読むのか。さすがフェラーリ。読ませもしないとは……!


・注文してから調理開始

その後、厨房を見ていたら私が注文した後に別のスタッフが調理を始めた。どうやら作り置きではなく、注文の後に調理が行われるようだ。したがって、いつもの牛丼より ちょい提供時間がかかるものの、決して「待つな〜」と感じるほどでもない。私の場合は5分かからないくらいだった。


そしてついに、私の目の前にフェラーリこと牛重(ぎゅうじゅう)が姿を現した。なんという存在感。なんというフォルムの美しさ。この時点で凄みを感じつつ、フェラーリのボディーカバー(お重のふた)を取ったら……!!


至福。

ただひたすら至福

食べる前から至福。

ありがとうございました。


・ウマすぎて逆に心配

若干緊張しつつ食べてみると、割り下のちょい甘めの風味が口の中いっぱいに広がる。なんというか、牛丼とすき焼きの中間のような印象。肉質も味もいつもの牛丼とは明らかに違う。個人的に吉野家の牛丼は大好きなのだが、フェラーリと比べたらモノが違うって感じだ。


いってみれば、いつも1パック350円くらいの牛肉ですき焼きを作っている人が、1パック1000円オーバーの霜降り肉に手を出してしまったようなもの。つまり、「こんな贅沢をしてしまったら、いつもの味に戻れるのか?」と逆に不安になるほど、フェラーリは最高であったということだ。


・フェラーリを味わえるのは国内で2店舗のみ

ちなみに吉野家に問い合わせたところ、フェラーリ(牛重)を味わえるのは今回紹介した羽田空港国際旅客ターミナル店以外に永田町一丁目店だけなのだとか。その永田町一丁目店というのが、一般人にはなかなか垣根の高いお店。というのも、利用できるのは主に国会関係者だからだ。

一般人が永田町一丁目店を利用するには、国会見学の申し込みを行った上で、見学の途中で店舗に行くしかないらしい。そんな味が、いわば国会仕様の味が、羽田空港の国際ターミナルに行けば誰でも味わえるのだ。

もちろん、牛重に手を出すかどうかはそれぞれの自由だが、これだけは言わせてほしい。羽田空港でのお楽しみは飛行機だけじゃない。実はフェラーリもあるぞと。

・今回ご紹介した飲食店の詳細データ

店名 吉野家 羽田空港国際線旅客ターミナル店
住所 東京都大田区羽田空港2-6-5(羽田空港国際線ターミナル 一般エリア4階)
時間 24時間営業
休日 なし

Report:和才雄一郎
Photo:RocketNews24.
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