日本の野球界がアツい! ここ最近はサッカーワールドカップ一色だけど、大会期間が終わればまた野球にも注目が集まるだろう。
いまの日本野球界の特徴は、ホームランバッターが増えたということだ。一時は長距離砲が不足していると心配されていたが、巨人・岡本、日ハム・大田が覚醒し、なによりDeNA・筒香と日ハム・中田がいる。西武・山川、SB・柳田も外せない。連日のように特大ホームランが飛び出し、プロ野球ファンとしては嬉しい限りである。
しかし、筆者(私)にはどうしても忘れられないホームランバッターがもう1人いる。そいつはカルカッタで商店を営むごくごく普通のインド人。こいつのバッティングがハンパない!
・仕事前にクリケット
安宿街であるカルカッタのサダルストリート近くの広場では、毎朝仕事前の若者たちが集まり、ブンブンとバットを振り回している。もちろんベースボールではなくクリケット。朝のラジオ体操代わりにしてはだいぶハードではあるが、みんな身体を動かして汗だくのままそれぞれの職場に向かうのだ。
クリケットにおいて重要なウィケット(簡単にいうと、投手は投げたボールでウィケットを倒す。打者は倒されないようにボールを打ち返す)は発泡スチロールで代用。かなり年季が入っており、すでに大破寸前。カルカッタの草野球ならぬ草クリケットでは投手のレベルが高すぎて、ウィケットがボッコボコなのである。
・通行人なんて関係なし!
インド人の細長い手がムチのようにしなり、バッターはバッターで細身なのでバットが重すぎて完全に身体が持っていかれている。それでもチラホラとガタイのいいバッターもいて、通行人などお構いなしといった感じで、フルスイングでボールを打ち返す。
日本の野球少年たちならば、「人がいるのでちょっと中断しよう」とか「危ないです!」とか配慮があるものだが、そんなの関係なし!
女性であろうと子どもであろうと老人であろうと、「ボールが当たるくらい大丈夫っしょ」といった感じで人ごみに向かってボールを打ち込むのである。
・カルカッタのバレンティン
その中でも豪快な打撃を見せるのがカルカッタのバレンティン。一体どこで学んだのだろう、しっかりと脇のしまったシュアなスイングでインパクト時のバットの角度も絶妙。見た目はバレンティンだが、下半身の使い方なんかレフトスタンドにホームランを叩きこむ大谷翔平のようだ。
私は居ても立っても居られずにバレンティンに歩み寄った。クリケットのことはよく分からないが、お前のバッティングは日本のホームランバッター「オオタニ」みたいだと。するとバレンティンはこう答えた。
「おれはクリケットだけじゃなくベースボールのバッティングも参考にしているからな」
リンク・シン、ディネシュ・パテルといったアメリカでプレーした先駆者たちの影響だろうか。もしかしたらインドのWBC出場も近いかもしれない!?
Report : 國友公司
Photo : Rocketnews24.