『アルマゲドン』、この映画が公開されたのが1998年のことだ。それからすでに20年の月日が流れているのに、日本では邦題アルマゲドン作品はいまだに出続けている

それら邦題作品がいかにアルマゲドンしているか、実際に観てみないことにはわからない。という訳で、私(佐藤)は作品を取り寄せて1つひとつ紹介することに挑んでみたいと思う。題して「アルマゲドン映画批評」。初回は2012年9月発売の「アルマゲドン2012 マーキュリー・クライシス」(原題:Collision Earth )である。

・紹介するのは「アルマゲドン2012」

この作品は2011年にカナダで制作されたものだ。日本の販売元のアルバトロスのサイトには、次のように紹介されている。

水星と地球の衝突まで18時間 2012年、太陽系で未曽有の異変が発生。水星が軌道を外れ、地球衝突のコースを直進 降り注ぐ隕石雨と磁気嵐。人類を襲う絶体絶命の危機。そして残された希望に全てを賭け、勇者たちの戦いがはじまる!」



・観る前の正直な気持ち

正直なところ、観る前は全然期待していなかった。いやむしろ、どれだけ原作とかけ離れた内容で、どれだけチープな演出を見ることができるだろうか? と逆の意味の期待をしていたのだが、侮りすぎていたと反省している

DVDの収録時間は91分。その間に、どこかで停止ボタンを押して、作品を引き出しの奥に封印することになると思っていたら、無事に最後まで完走することができた。


・あらすじ

さて、この物語で地球を滅亡の危機にさらすのは、「彗星」ではなく「水星」だ。そう、副題にあるマーキュリーである。水星探査に向かった宇宙船ノーチラス号は、太陽の強烈な磁気嵐に襲われて消息を絶った。時同じくして、地球上では磁気嵐による影響が起きており、なんと水星が地球に接近しつつあることが判明!

ノーチラス号には主人公で物理学者のプレストンの妻、ヴィクトリアが搭乗しており、夫婦は力を合わせて地球の危機に立ち向かう!! そんな内容だ。


・気になったこと

物語全編を通して、ひとつ気になったことがある。いくぶん説明が不足していて、危機の本質や、水星衝突回避の策の具体性を把握するのに、ちょっと時間がかかる。もしかしたら、予算の都合でそう長い尺を取れなかったためかもしれない。

また、登場人物たちが命の危機に直面しているシーンで、抑揚が乏しいためか、ハラハラドキドキしにくい。気が付けば仲間が突然死んでいたりするので、違う意味で驚いてしまう。


・ここに感動した!

残念なことに1カ所CGの使いまわしを発見してしまった。そのことから、やはり低予算で制作されたことが想像できる。そう思うと、かなり厳しい制約のなかで、出演者を含む制作陣はできる限界に挑戦したのではないか? と感じられる。その勇気に感動する。良くやった! ちょいちょい挟んでくるジョークにさえ感動したぞ。

それらを踏まえて、この作品の “アルマゲドン度” は60点! 水星が軌道を外れる設定や、危機を回避する策をもっと作り込んだ形で観てみたいと思った。という訳で、次回のアルマゲドン映画批評は、アルマゲドンとゾンビホラーが合体した怪作「アルマゲドン・オブ・ザ・デッド」である。

参考リンク:アルバトロス
Report:アルマゲドン評論家 佐藤英典
Photo:Rocketnews24