よほどの自信があるらしい。なにせ商品名がズバリ『カレーを美味しく食べるスプーン』だからである。パッケージにもカレーライスの写真が印刷されており、もう完全に「オレ、カレー専門です」といった雰囲気すら漂っている。いい度胸だ……!!

ということで今回ご紹介するのは、ダイソーに売られていた「匠の技シリーズ」のカレー部門『カレーを美味しく食べるスプーン』である。もちろん価格は100円だ。こいつで自家製のカレーライスを食べてみたところ……予想外すぎる結果に!

匠の技シリーズといえば、以前紹介した『パスタを美味しく食べるフォーク』が思い出される。金属製品で世界的に有名な町、新潟県燕市で作られた品質重視のシリーズであり、Made in Japan の中の「MADE IN TSUBAME」なのである。

それはさておき、まずはじっくり観察してみよう。パッケージによると、「最新技術でスプーンのフチを約2/3まで薄くした」らしく、「最後まですくいやすい!!」うえに「最後まで食べやすい!!」とのこと!! やたら「!!」が多いのが気になるが……

たしかにフチが普通ではない……!!

フチだけでなく……!!

頭の形状も普通ではないし……!!

重厚感のある輝きも普通ではない……!!

カーブの具合も普通ではない……!!

観察すればするほど何が普通なのかよくわからなくなってきたが、とにかくこれが「匠」が導き出した「カレーライス専門の形状」なのであろう。それはさておき……

用意したのは当然、カレーライス。職人の技を味わうのにレトルトでは無礼かと思い、ちゃーんとイチから作った自家製のカレーライスを用意してみた。自慢じゃないが、調理師免許も持っている私のカレーライスは超美味い!! それもさておき……

いざ尋常に、勝負! 「普通のスプーン」vs.「カレーを美味しく食べるスプーン」時間無制限カレーライス1杯勝負の幕開けだ。

まずは「カレーを美味しく食べるスプーン」で……

ふわっとすくいあげ……

ご入口(にゅうこう)……

!?

!!

う、美味い……!!

劇的に美味い……!!

私のカレーは美味いのだから美味いに決まっているのだが、なぜか「いつもよりも美味い」のだ。確実に「いつもより美味い」のである。しかし、プラシーボ効果という可能性も考えうるので……

次は普通のスプーンで……

美味い。

普通に美味い。

ウソではない。これは驚き。単にスプーンを変えただけで、「普通に美味い」と「劇的に美味い」の違いが出てしまったのである。ウソじゃない。本当だ!!

何回試しても……

普通のスプーンは普通に美味く感じる一方……

カレーを美味しく食べるスプーンは……

劇的に……いや、激的に……!!

激ウマ!!

──と繰り返すうちに、ようやく「理由」に気がついた。それは、カレーを口に入れた時と入れた後の「口触り」。つまり最強にカレーに適した「スプーンの形状」が美味さを倍増させている……ような気がするのだ。


たとえば、普通のスプーンであれば、カレーをスプーンですくい、口に入れ、スプーンを抜く……という動作が、なんというか「平行」の動きだけで終わる。しかし……

『カレーを美味しく食べるスプーン』は、カレーをスプーンですくい、口に入れ……た瞬間に、もう「いつもと違う」と感じる。最高の形で、カレーが口の中に入ってくるとでも言おうか。そして、カレーを口の中に置き……

スプーンを抜く時、まず圧倒的な「心地よさ」を感じ……そして!

抜いた後、跳ね上がるっ……!!

まるでジェット機が離陸するがごとく、斜め上に飛んでいく感じ……!!

もしも私が小学生であれば、そのままスプーンをジェット機に見立て、「シュゴオオオオォォ……」とテーブルの上を飛行させ、「食事中にお行儀が悪い!」と母親に怒られるレベルの飛行感を感じるスプーンの「抜けの良さ」とでも言おうか。

とにかく違う。断然、違う! これは絶対に試して欲しい。できればいつも使っている「普通のスプーン」と比較しつつ、家族でカレーライス大会などを開催したら「違う!」「ぜんぜん違う!!」と大盛り上がりすることマチガイナシであろう。


ここからは余談だが、インドやネパール、はたまたバングラデシュなどの国では、カレーを素手ですくって食べる。

経験者であればわかると思うが、向こうの現地で食べるカレーは、スプーンを使うよりも素手で食べたほうが絶対に美味しい。一体どうして、スプーンと素手で、こうも味が違うのであろうか。

そこで遠い昔、日本語の達者なネパール人に「スプーンと素手の違い」について聞いてみた(コラムも書いた)ことがあるのだが、彼は流暢な日本語でこう言った。


手で食べるべきカレーをスプーンで食べるのは日本のおにぎりをスプーンで食べるようなものだよ


なるほどな、と思った。

今回使ったのは、どちらも「スプーン」だ。しかし、同じものを食べているはずなのに、圧倒的に美味しく感じたのは『カレーを美味しく食べるスプーン』だった。微妙な形状の違いだけで、ここまで美味しく感じられるとは勉強になりまくりだ。

ネパールのカレーが「手で食べるべきカレー」であるならば、もしかしたら、日本の「カレーライス」は日本の職人が熟考しながら作り上げた『カレーを美味しく食べるスプーン』で食べるべきカレーなのかもしれない。そう、思ったのである。

Report:100均研究家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
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