女なんだから、男なんだから、女らしく、男らしく……このような固定的な性差概念(ジェンダー)にもとづいた差別や嫌がらせのことを「ジェンダーハラスメント(通称ジェンハラ)」という。

ハラスメントについての正しい知識が広まってきた昨今、冒頭のような発言がNGであると分かっている人も多いはず。だがそれでも、世の中にはこの様な言説をまき散らす人は未だに存在する。今回もある元女性サッカー選手が「女なんだから台所にいるのがお似合い」などという差別発言を受けた

けれども元選手はそんな言葉に屈することなく、彼女だけにしか言えないようなコメントで反撃した。それを聞いたネット民からは「痛快だ!」と称賛が集まっている。一体どう返したのだろうか?

・素晴らしい経歴をもつストーニーさん

話題になったのは、元サッカー選手のキャシー・ストーニーさん。2000年にデビューして以来、イングランド女子代表に100回以上選ばれ、UEFA欧州女子選手権では銀メダルに輝き、FIFA女子ワールドカップでは2度のベスト8入りに貢献。ロンドン五輪ではキャプテンも務めた。もうレジェンド級のスゴい経歴の持ち主なのだ。2018年2月に引退した後も、イングランド女子代表チームのアシスタント・マネージャーとして活躍している。

この度、イングランドプロサッカー協会(PFA)は、彼女の素晴らしい業績を讃え、ストーニーさんに特別業績賞を贈った。

・差別発言に対してストーニーさんは……

ストーニーさんは受賞プレートを抱えてニッコリ笑顔。PFAがその写真をツイートしたところ、多くの祝福の声が集まった。しかし同時にベン・プライスと名乗る人物から、次のような性差別的なコメントが送られてきた。

「プレートは台所にでも飾っておくといいね。そう、あんたがいるべき場所だ」

女性は台所にいるべき……この時代錯誤的も甚だしい発言をストーニーさんは無視しなかった。「たしかにウチの台所にピッタリ」とメッセージをお返しするのだが、その後に続く言葉がものすごい。

「鍋つかみとアイロン台、そして4つのFAカップ、5つのリーグカップ、2つのリーグタイトル、ヨーロッパ選手権の銀メダルと世界選手権の銅メダル、130個のイングランドカップの横に置いておこう! うん、とっても似合うはず。ありがとう(キスマーク)」

う〜ん、お見事! このユーモアあふれる反撃に対して、ネット上では「痛快だ!」「素晴らしい」と拍手喝采が寄せられている。ちなみにこの後、ベン・ブライスさんのツイッターアカウントには鍵がかけられたのだった。

参照元:indy100The FA(英語)、Twitter @CaseyStoney@PFA、Instagram @caseystoneyセクシャル・ハラスメント – 法務省(PDF)
執筆:小千谷サチ

▼ストーニーさんの反撃ツイート

▼受賞プレートともの微笑むストーニーさん