2月9日に開幕し、熱戦が繰り広げられている平昌オリンピック。早いもので日程は折り返し地点に差しかかろうとしている。さて、ここで質問だ。今から16年前の2月16日は、何があった日か分かるだろうか。

答えは、オリンピック史上「もっとも幸運な金メダリスト」が誕生した日。ソルトレークシティー五輪のスピードスケート・ショートトラック男子1000メートル決勝は、誰もが目を疑う結末を迎えた。

・もっとも幸運な金メダリスト

勝負事は最後の最後まで何が起きるか分からない。たびたびこのような言葉を耳にするが、そのことをオリンピックという大舞台で世界に発信したのが、金メダルを獲得したオーストラリアのスケーター「スティーブン・ブラッドバリー」だ。

5選手で争われた決勝。彼は他の4選手に比べて実力が劣っていることもあり、離された最後尾を滑っていた。だが、迎えたラスト1周。しかも、最終コーナーで信じられないアクシデントが起きた。

・棚ぼたで金メダル

なんと前を滑っていた選手全員が転倒し、彼の前にポッカリと道ができたのだ。そして、他選手が体勢を立て直す中、接触に巻き込まれなかった彼は全員をごぼう抜きしてゴールを駆け抜けた。その様子はオリンピックの公式Instagramが公開した動画で確認できるが、まさかまさかそのまさか!

神様のイタズラというべきか、勝負は時の運というべきか。まさに「棚ぼた」「ごっつあん」な形で、彼は金メダルを獲得。その結果、南半球に初の冬季五輪金メダルをもたらしたのであった。

・決勝までも幸運の連続

ここで「よく決勝までたどり着けたな」と思う人もいるかもしれないが、実を言うと彼の幸運はすでに続いていた。準々決勝で予選落ちのはずが、他選手が失格になったことで繰り上がって準決勝へ。そこでも決勝同様に前の選手が転倒し、決勝へと駒を進めていたのである。

アクシデントが起きやすい競技とはいえ、4年に一度の舞台で金メダルを獲得できるのは選ばれし者だけ。奇跡とも言える強運は、「運も実力のうち」という言葉だけでは片付けられないような気もする。

参照元:Instagram @olympics
執筆:原田たかし