真っ白な原稿の上に、ペン一つで様々なドラマを生み出していく……。漫画は本当に素晴らしい。と同時に、非常に厳しい世界でもある。プロとして連載している以上、人気は常に意識しなければならないし、結果が伴わなければ打ち切りになってしまう。これまで、中途半端な形で終了してしまった作品をいくつも見てきた。
今、連載が打ち切りとなったある少年ジャンプ作品が話題になっている。打ち切りは打ち切りだが、完全に終了というわけではなく、続き自体はちゃんと読めるらしい。しかし、その続きの読み方のハードルがめちゃめちゃ高いのだ。正直、読める気がしないぞ。
・衝撃の打ち切り
少年ジャンプの漫画誌アプリ「少年ジャンプ+」。そこで連載されている『時間の支配者』は、かつてアニメ化もされた人気作品だ。しかし、2018年2月15日に公開された第77話にて、唐突に連載が終了してしまう。
普通打ち切りになる場合、伏線などが回収されないことはあっても、一応作品として完結するような形になっているものだ。しかし、『時間の支配者』は違った。明らかに次回に続く感じで終了してしまったのである。最後のページのセリフは以下の通り。
「ミーナは……私の本当の母親かもしれないんだ!」
うむ、これは完全に続きがある。だが、ページの下の方に目をやると……。
「おわり ご愛読ありがとうございました。」
ええええええええええええ! 終わり? ここで!? いやいや、嘘だろ! さらに最後に添えられた衝撃の一文が、読者を混乱の海に叩き落す。
「この続きは、中国の漫画雑誌『翻漫画』で確認しよう!」
なん……だと……? そう、「ジャンプ+」で連載されていた作品を読んでいたら、続きは中国の雑誌に掲載されるといきなり告げられたのである。完全にポルナレフ状態になったのは言うまでもないが、それは他の読者も同じだったようだ。コメント欄を埋め尽くす困惑の声を一部ご紹介しよう。
・読者の声
「えっ!? 終わり!?」
「ちょっと言ってる意味がわからないです」
「中国の雑誌買っても読めねえだろ」
「どんな終わり方やねん」
「唐突な終わりで草」
「そんな無茶な」
「ある意味伝説」
「続き読みにちょっと中国行ってくる」
続きが読めるのは嬉しいが、中国の雑誌じゃ何が書いてあるのか分からない。ジャンプさん、いくらなんでもハードルが高すぎやしませんかねぇ……。
・中国版が本家
ただ、この移籍劇はまったく脈絡なく起きたわけではない。そもそも『時間の支配者』は台湾出身の作家・彭傑先生による作品だ。2014年に中国版のジャンプ「漫画行」で連載がスタートし、その後2015年に「ジャンプ+」でも掲載されるようになった。言ってしまえば、あちらが本流なのである。
日本での掲載が終了となったのは、何か事情があったのだろうか? 続きがきちんと翻訳されるかどうかは不明だが、ただ一つ確かなのは、日本の読者にとって今回の出来事が歴史に残るレベルの事件だったということだ。