私(佐藤)が当サイトで記事を書くようになってから、早いもので8年もの歳月が経過した。約10年も仕事をしていると、過去にどんなことをやっていたのか、すっかり忘れてしまうこともある。
最近になって、2012年に公開した私の漫画について、コメントをくれた人がいた。私はすっかり漫画の存在を忘れていたのだが、その人のおかげで作品を読み返す機会を得ることができたので、皆さんにも紹介したいと思う。
・ジャンプに持ち込んだ
その時に描いた作品は集英社の週刊少年ジャンプ編集部に持ち込んだ。漫画家を目指す人であればご存じだと思うが、出版社では事前に申し込みをしておけば、持ち込みに応じてくれる。私もその時、あらかじめ問い合わせをして、編集者の方に時間を作って頂いた。
実は持ち込むのに当たって、プロの漫画家マミヤ狂四郎先生に意見を仰いだ。すると、次のような意見を頂くことができたのである。
・プロ漫画家 マミヤ狂四郎先生の評価
「内容はさておき、特筆すべきは、圧倒的な余白が織りなす “ヌケ感” である。そんじょそこらのプロ漫画家であれば、少しの余白でも「埋めなきゃ……」と焦ってしまうのだが、デリケートゾーン佐藤は、そこらへんの感情が全然デリケートではないようで、堂々と余白を作り出すことに成功している。
コマ割りとセリフ回しも大胆極まりなく、独特の “間” が心地よい。特に最高なのは7ページ目だ。このページは、漫画の教科書に載せても良いくらいの出来である。
まずは雨降る奥に窓と女性。その直後、ほぼ同じ構図なのに、見下ろし視点でのベッドイン。90度回転でのゴロ寝が来て、4コマ目には横アングル。そして最後はセリフ無しの「夜」※(何故か雨は止んでいる)……と、セリフ、コマ割り、構図、すべてにおいて完璧と言えよう。ちなみに9ページ3コマ目の「エッ!」も完璧だ」
……絶賛である。これだけ力強い後押しを受けたので、私が自信を持つのは自然なことだったのではないだろうか。しかしながら、ジャンプを裏で支える担当者の意見は、このささやかな自信を軽々と打ち砕くものだった。
・担当者の熱意
お忙しいなか時間を頂き、私の漫画について真剣にご意見を頂いたことをよく覚えている。その方は私よりも随分若かったが、漫画に対する情熱は大変アツく、何か『凄み』のようなものを感じて身震いした気がする。いや身震いどころではない、私は自分でもわかるほど、ガタガタと震えていた。そのくらい担当者の気迫は強く、顔つきは怖かった。忘れられないほど、怖かった……。
そんな思い出の詰まったこの作品について、最近コメントを寄せて頂いた方は丁寧に褒めてくださった(画力については、至らないということを踏まえて)。ぜひ皆さんにもご覧頂き、率直な意見を頂ければと思う。
・作品の内容
この作品『アゲル』は、ものをあげることでしか、愛情表現することを知らないひとりの女性が、失恋を繰り返した後に辿りつくひとつの「答え」について描いている。漫画は 次のページ で確認して欲しい。
なお、感想は私のTwitter「 @Foodqueensatou 」宛てに頂けると幸いだ。
執筆:佐藤英典
Photo:Rocketnews24.