2011年「アラブの春」をきっかけに、アサド政権と反アサド派の武装勢力が衝突する形で始まったシリア内戦。2016年の現在も、多くの人々が国外に避難する一方で、国に残った人々も空爆などの被害にあっている。

シリアの最大都市アレッポには「猫の保護施設」が存在し、避難した人々があとに残していった100匹以上の猫たちが保護されている。しかし2016年11月16日、空爆により施設が被害にあってしまったというのだ。

・残された猫たちのお世話をしている男性

電気技師と救急車の運転手であるモハンマド・アラア・ジャレエルさんが運営する、この猫の保護施設。空爆が続くアレッポに残り、多くの猫を世話したり、施設を子供たちの遊び場として開放しているのだ。

彼の活動は世界中のメディアに取り上げられ、 “アレッポのキャットマン” として注目を集めてきた。

・11月16日、空爆で施設に被害が

日々、施設の SNS には猫たちが餌を食べたり、くつろぐ様子などがアップされているが、アレッポに空爆があったこの日、ほのぼのとした猫の写真が投稿されることはなかった。

代わりに「残念ながら今日は猫をお見せすることができません」とのメッセージと共に、空から爆弾が落ちてくる動画が投稿されたのだ。その後発表された別のメッセージには、「本日、私たちの施設が爆撃され、数匹の猫とホープという名の犬が命を落としました」と書かれている。

・モハンマドさん「ここに留まり、猫たちを守る」

複数の海外メディアによると、モハンマドさんが所有する家や救急車は空爆の被害を受けたものの、彼とその家族は無事だったそう。

けれども2匹の猫と1匹の犬が命を落とし、何匹もの猫が重傷を負ったと伝えられている。重傷を負った猫のなかには、トルコに避難する少女から預かった猫も含まれていたようだ。

保護施設の再建が今後どうなるかはまだ分かっていないが、モハンマドさんは以前『BBC』のインタビューで「このネコたちは私の友達」「何があってもここに留まって、猫と一緒にいます」と話していた。

ちなみに施設の保護活動は、寄付金で成り立っているという。活動の詳細は「Il Gattaro D’ Aleppo」の Twitter や Faceook などから確認することができる。

参照元:The DodoMorning News USA(英語)、YouTube、Facebook[1] [2]、Twitter @gattarodialeppo
執筆:小千谷サチ

▼「残念ながら今日は猫をお見せすることができません」というメッセージと共に投稿された動画

▼爆撃を受けた翌日に撮影された猫たちの様子

▼モハンマドさんと猫たち *画像がスマホ画面からハミ出ちゃう人は、スマホを横向きにしてみてね

▼音量注意。ご飯を求めて鳴きまくる猫たちの動画

▼猫を救護しようとするモハンマドさん

▼『BBC』のインタビュー