香港アクションスターと聞いて必ず名が挙がるのは「ジャッキー・チェン」! ユン・ピョウ、サモ・ハン・キンポーと共に70~90年代にかけて一世を風靡し、日本でも絶大な人気を誇っていた。
そんなジャッキーが、あの “黄金時代” の作品について、驚くべき発言をしたと話題になっている。「昔の香港映画は、アクション重視で脚本がヒドかった」「子供に悪影響」などと話しているというのだ。……そこがいいんでしょッ! 俺らの思い出全否定かよッ!?
・ジャッキーが昔の香港映画を全否定
そんな衝撃発言が飛び出したのは、2016年6月11日に開幕した上海国際映画祭の「ジャッキー・チェン アクション映画ウィーク」でのことだ。映画監督らと共に行ったトークショーで、過去の映画についてこう語ったという。
「以前の香港アクション映画はやりすぎだった。アクションを過度に強調するあまり、脚本がおろそかになっていた」
「(自身が撮った映画は)やりすぎてニセモノのようになっていた。今振り返ると、とても恥ずかしい、申し訳ない」
さらに、外国の映画に触れるうちに、「香港のアクション映画はアクションのためのアクションだった」ということに気がついたという。刺激だけを求める香港アクション映画は、「子供に悪影響」とさえ話したというのだ。えええええ!? いまのアラフォー世代とか、完全にジャッキー見て育ってるでしょ!? 悪影響だったなんて……。
なお、そんなジャッキーは、アクションなしのストーリー重視な映画に出演したいと思っているそうだ。
・映画ファン「ジャッキー、もっと誇れよ!」
そんなまさかの “全否定発言” に、映画ファンは騒然。この件について、「ワイヤーアクションを世界無形文化遺産に全力で推す会」代表のラッキー・ホイさんは、こう話している。
「首がもげるわけでも、内臓がピャッと出るわけでもないのに、どこが悪影響なんだよ! ジャッキーの映画でどれだけの人間の心が救われたと思ってるんだ。男ならシャンデリアを見たら、飛び移りたくなる。エスカレーターを見たら滑り降りたくなる。それを世に広めたのはアンタだろ!? もっと誇れよ!
俺は最近のジャッキー映画の方がストーリーがないと思うね。そもそもジャッキーが出ている段階で、たとえば恋愛要素が入る余地なんかない。というか、誰も期待してないだろ! あとお前の映画見て大変なことになったのは息子だけだろ!! とにかく最近のジャッキーは言うことがおかしい」
……と、軽く30分は話していた。昔の香港アクション映画は、『水戸黄門』のような様式美をそなえており、キャラ設定も豊か。ハリウッドのようなストーリーは求めていないというのだ。
たしかにそうだ。『プロジェクトA』『スパルタンX』『福星シリーズ』に『ポリスストーリー』……クルマが民家をブッたぎりながら暴走したり、バスに傘をひっかけて引きずられたり、デパートの電飾からシャーっと降りて来たり……ストーリーがいくら荒唐無稽であっても、ツッコミどころ満載であっても、あのアクションが見たくて見ていたはず! アクションシーンだけで白飯3杯はいけたというのに!!
でもって、エンディングのNG集で「テヘッ♪」となっているキャストを見るまでが、映画の楽しみだった。ジャッキー自身がどう振り返るかは自由だとは思うが、あのキラキラした時代を否定されたようで、ちょっぴり悲しい。そう思うのは、私だけではないはずだ。
参照元:文匯報、南都網(中国語)
執筆:沢井メグ
Photo:Rocketnews24.
▼みんな香港アクション映画を見て大人になったというのに……