美味しいカレーを求めてさまよい歩く、カレー探求。いろいろなお店を訪ねていると、時々不器用と思わせるような、職人気質のお店に出くわすことがある。お店の装飾が粗末だったり、宣伝方法に工夫が足りなかったり。もっと繁盛する店になるはずなのに、料理への情熱がそれに勝ってしまうお店というのがある。
東京・中野の「カレーの店 シャリデス」もそんな印象を受ける。店内は一見居酒屋のような雰囲気。壁にはロックバンド『筋肉少女帯』のポスターやレスラーのサインなどが飾ってあり、およそカレー店としての雰囲気は薄い。しかしここのカレーは職人技を感じさせるのだ。
・目立たない店
お店はJR中野駅の北口から数分のところにある。この界隈は飲食店が数多く立ち並ぶ激戦区だ。そのなかにあってシャリデスは、決して目立つお店ではない。むしろ知らない人がフラリとは入れるような店構えではないのだ。真隣に餃子の王将があり、存在感はかき消されているようにさえ見える。
・「カレーを食わせろ!」
歴史を感じさせる建物の2階、階段を上がると入り口に筋肉少女帯のタオルが暖簾代わりに掲げられている。そこには「オレにカレーを食わせろ!」と記されている。きっとお客さんの気持ちを代弁しているのではないだろうか。
・豊富なスパイスの小瓶
店はそう広くない、カウンター席とテーブルが1つ。10人入ればいっぱいである。13時をすぎた頃に訪ねると、他に客はおらず貸し切り状態。店内にはハードロックが流れている。そのなかで店主は静かに仕事をしていた。その様子から実直な職人の人柄がうかがえる。卓上にはキレイに整頓されたスパイスの小瓶がいくつも並んでいた。何軒もカレー店を訪ねてきたが、ここほど豊富にスパイスを所有しているお店はいまのところ見たことがない。
・ひたむきに道を求める
お店のHPを見ると、スパイスが豊富であることに納得。50種類ものカレーメニューが掲載されているのである。それらのなかから週替わりで3種のメニューを提供しているのだ。HP、そして店主の仕事ぶりから「求道者」の雰囲気を感じずにはいられない。カレー道をひたむきに追求する姿勢は、やはりカレーそのものからも感じることができた。
・人気メニューは完売
この日は、カシュナッツチキンカレー、ゆで豚カレー、ナストーフカレーの3種。いずれも750円である。残念ながらカシュナッツチキンはすでに売り切れ。ゆで豚カレーをオーダーすると、そのカレーも売り切れになってしまった。早い時間から回転するお店のようである。
・中華系カレーの妙技
実際に食べてみると、ゆで豚から豊かな香りを感じる。メニューを見ると、スパイスとタマネギを入れた湯で、豚肉を茹でているそうだ。どうりで芳しいはずだ。メンマとザーサイをベースにした中華系カレーで、トッピングのパクチーとの相性バツグン! 華やかでなおかつ繊細な味わいに感動さえ覚える。
店構えには決して派手さがない。むしろ地味な部類だろう。しかしながら、カレーにかける思いは相当強く、食せばその気合いを感じ取ることができるはずだ。
・今回訪問した店舗の情報
店名 カレーの店 シャリデス
住所 東京都中野区中野5-56-12
営業時間 11:30~14:30、17:30~20:00(ルウがなくなり次第終了)
定休日 水曜日
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24.
▼お店が結構わかりにくい
▼ミスターポポみたいなイラストが描いてある看板が目印
▼階段を上ると……
▼「オレにカレーを食わせろ!」
▼メニューは週替わり。50種のカレーから3種
▼ゆで豚カレー、750円
▼ゆで豚は肉厚で食べ応えがある