【実録】私のハゲ写真が勝手に「薄毛対策メルマガの広告」に使われていたので広告の作者に挨拶しに行ってみた(中編)その5
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おじいちゃん。出てきたのは、おじいちゃんだった。それも単なるおじいちゃんではなく、かなり高齢なおじいちゃん。ほとんど白髪の短髪は、歳相応に薄くなっている。少なくとも、耕平が自称する「35歳」ではない。彼は一体……誰なんだ?

数秒の間、お互い「誰?」という表情で見つめ合った。まるで時が止まったかのような緊張感。ちょっとした “非日常” を感じる瞬間でもある。しかし、私以上に非日常、いわば “異常事態” を感じ取っていたのは、おじいちゃんの方だった。taimen

おじいちゃんの視線は、私の顔と「ショットガン自撮り棒」を行ったり来たりで、明らかに「ヤバイ奴が来た……」といった顔をしている。もしも自撮り棒という存在を知らなければ、“正体不明のロン毛のハゲが、ショットガンを手にしてドアの前に直立不動をしている” としか考えられない。もしくは「殺し屋がやってきた」だ。roanguru

当の私も、一瞬にして様々な事を考えていた。パッと見ただけで「彼は間違いなく耕平ではない」と思いつつも、その一方で「もしもこのおじいちゃんが、あの巧妙な薄毛広告で生活費を稼いでいたとしたら、“コンピューターおばあちゃん” ならぬ “アフィリエイトおじいちゃん” で、それはそれでスゴイな」と思ったりしていた。mozaiku

ともあれ、ここまで来たら、単調直入に聞くしかない。私は開口一番、「こんにちは。●谷さんですか?」と聞いてみた。しかし、答えは……

おじいちゃん「いいえ、ちがいます」

──当然だ。表札からして違うのだ。偽名という可能性もゼロではないが、ウソをついている “瞳” ではない。続いて、「千葉県船橋市XX●丁目●番●号は、ここですか?」との問いには、ハッキリと「そうです。間違いありません」と答えてくれた。ude

結論から先に言おう。耕平が教えてくれた「千葉県船橋市XX●丁目●番●号102」の住所は、完全なるデタラメだったのだ。28年前から町内会にも顔を出しているおじいちゃんによると、「●谷」なんて苗字の人間は、今まで見たことも聞いたこともないという。

おじいちゃんの家は28年前に建てられて、以来ずっと一軒家。住んでいるのは、おじいちゃんとおばあちゃんだけ。102なんて部屋番号は存在しない……とのことだった。ojithan

つまり耕平はウソをついた。自分の住所と言っておきながら、何の関係もないおじいちゃんの住所だった。またもや耕平は……人の褌(ふんどし)で相撲を取ったのだ。勝手に住所を使われていたという事実を知ったおじいちゃんは、「薄気味悪いねぇ……」と声を漏らす。彼もまた、耕平の薄毛商売のために利用された被害者の1人である。

その後、我々はおじいちゃんの「もしかしたら少し住所を変えているのかもしれん。近所のアパートの102も調べてみては?」とのアドバイスに従って、いくつかの集合住宅をチェックした。しかし、おおかたの予想通り「●谷耕平」はいなかった──。

・読者のタレコミに希望が見えた

万事休す。いま持っている情報だけでは、これ以上の追跡は不可能である。仮に、耕平に「ちゃんとした住所を教えろ!」と訴えたところで、正直に答えるわけがない。

この先、どうやって追跡しよう。耕平が契約しているアフィリエイトの会社に相談してみようか……なんて、Yoshioと案を練りながら東京に帰った。そして数日後に「前編」を書き終え、すぐさま公開。まだ追跡は終わっていないのだが、そのうち「俺、追われてる!」と気付くであろう耕平の動きと反応を様子見しようと思ったのだ。

しかし「前編」の公開後、まっさきに動いたのは耕平ではなく、1人のロケットニュース24読者だった。耕平の住所割り出しに悩んでいる我々の状況は知らないはずなのに、その読者は電光石火の独自調査で “おそらくズバリの住所” をタレコミ情報として送ってきたのである。はたして耕平の “真” 住所とは? 続きはラストの次ページへ!!

Report:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.