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思春期というのは、オシャレに目覚める時期でもある。男性であれば、ムースやワックスを買い出す時期である。オカンが買ってきた服を拒否する時期である。そして今まで理髪店、いわゆる床屋さんを利用していたのに、「美容院に行く」と言い出す時期である!

ということで、今回は初めて美容院に行った思春期の男子にありがちなことを、「あるある」という形でお届けしたい。読めば、あの時の気持ちがよみがえること請け合いだ。

【初めて美容院に行った思春期の男子にありがちなこと30連発】

その01:お店に入る前からドキドキしている。
その02:店の前に、青・赤・白の回るヤツがないだけで、「オシャレな店!」と断定。
その03:ドアを開けた途端、店員さんに「何でこんな子供がここに来ているの?」的な空気を出されたらどうしようかという恐怖感。
その04:「ご予約のお客様ですか?」との質問に、出来るだけ平静を装って「はい」と答えるが、どう考えても “慣れていない感” がバレバレだ。
その05:店内に置いている雑誌だけで「オシャレさが違う」と思ってしまう。
その06:待っている間、そのオシャレ雑誌を手に取って読んでみるが、本音を言うと「少年ジャンプ読みたい」と感じている。
その07:ファッション雑誌に載っている髪型を見て、「これはオシャレやわ」と無理に思い込もうとする自分がいる。
その08:自分の順番が来た時はドキドキがピーク。
その09:担当する美容師さんのオシャレさに圧倒される。
その10:「今日はどんな風にしますか?」との質問に答えるだけでいっぱい いっぱい。
その11:「普段、地元の床屋さんで切っているより若干オシャレな感じで」と言いたいが、それをどう言葉で表現していいか分からない。
その12:結局「適当に短くする感じで」と言ってしまう。
その13:美容師さんに「じゃ、まずシャンプーしましょうか」と言われると、「髪を切った後ではなく、切る前にもシャンプーするの!?」と思ってしまう。
その14:さらにシャンプー台へ移動する時の「お疲れさまでしたー」のかけ声にビビる。
その15:「そんなかけ声いいから、俺を見ないでくれ!」と思っている。
その16: 仰向けでシャンプーするという衝撃。
その17:「そんな体勢でシャンプーなんかしたら、水が鼻に入る」と、全く不要な心配をしてしまう。
その18:「かゆいところありませんか?」と質問されると、「もし仮にかゆいところがあったとしても、今の俺に “ここがかゆい” と言える勇気はない」と感じる。
その19:「普段どんなシャンプーを使ってるんですか?」と聞かれても、「オカンが買ってきたシャンプーを使っております」としか言いようがない。
その20:「そのシャンプーの銘柄をここで声に出して伝えると、きっと恥ずかしいんだろうな」と直感的に感じる。
その21:シャンプー後の「お疲れさまでしたー」にもビビる。
その22:正直、「“お疲れさま” って言い過ぎでは?」と感じるが、「オシャレな世界はそんなもん」と無理に自分を納得させる。
その23:美容師さんが気を使って色々質問してくれるが、どう答えてもダサく思われそうで、自分でもよく分からない返しをしてしまう。
その24:結局、会話が全く続かない。
その25:「女子は毎回こんな感じで髪切っているのか?」と思うと、クラスの女子を少し尊敬する。
その26:なんとなく、オシャレに仕上がっているような気がする。
その27:なんとなく、「顔ぞりをしなかった = オシャレになった」と思っている。
その28:なんとなく、「いつも行っている床屋さんの何倍ものお金を支払う価値があった」と思っている。
その29:全て「なんとなく」なのに、店を出た後の満足感は妙にデカい。
その30:その後、私生活で「お疲れさま」と言う頻度が、少し増える。

執筆:和才雄一郎
イラスト: マミヤ狂四郎

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