LINEnottori1

「LINE乗っ取り」のネタなんてもう古い。やり尽くされた感もあるし、二番煎じなんてやりたくない。そもそも私(筆者)の相手は迷惑メールだしねぇ……なんて周囲には余裕の態度をとりつつも、実は毎日毎日、待っていた。恋する乙女のごとく。

いつLINE乗っ取りからのメッセージが届いても対応できるように、会社の机には新品の iTunesカードが吊るしてある。戦闘準備はOKだ。いつなんどき、誰の挑戦でも受ける! カモン! カモンッ……!! と、待ち続けること約2カ月、ついに待望の「iTunesカードを買ってきてくれませんか」が届いたのだ!!

・メッセージが届いてから約1時間40分後に気付く

時は2014年9月11日。私は夜遅くまで取材をしており、iPhone をチェックできたのは日付が変わって9月12日の0時半ごろだった。LINEを確認してみると、ライターの安宿緑さんからメッセージが届いている。すると、そこには……

「近くのコンビニエンスストアでiTunesのプリペイドカードを買うのを手伝ってもらえます?」

と書かれていたのだ! ききき、キター!! ついに、キター!! ちなみに、このメッセージの送信時間は22時51分。結果として私は1時間40分ほど遅れて気付いたことになるが、取材だったからしょうがない。ともあれ来たのだ! 念願のLINE乗っ取りが!!
antetudatte

・まずは電話で連絡だ

とりあえず私は、速攻で「どうしたんですか?」とLINEメッセージを送りつつ、すぐに安宿さんに電話した。乗っ取られている本人に「LINE乗っ取られてますよ!」と伝えるためだ。だがしかし、安宿さんは電話に出ない。2回ほど電話しても出ない!

これはマジだな……と確信した。きっと今ごろ、安宿さんは電話なりの対応に追われているのだ。ちょうど1カ月ほど前、なかの記者が「LINE乗っ取りのフリ」をして私を騙したこともあったが、今度こそはマジのLINE乗っ取りだ!!

・コンビニに駆け込んで新たな iTunesカードを用意

その後の私の行動は、迅速にしてプロだった。まずは別のチャットツールで、安宿さんに「乗っ取られてるよLINE!」とメッセージを送信。それと同時にコンビニに駆け込んで、新たに1万円分の iTunesカードを購入。会社に戻っているヒマはない。

さらにLINE乗っ取り犯には「手伝いますよ!」と力強く宣言しつつ、自分のTwitterでは「ついに、待望のLINE乗っ取りからのコンタクトきたーッ!」と戦いの幕開けを大々的にアピール。そしてダッシュで家に帰り……ワクワクしながらズボンを脱いだ。

・究極奥義『JIRASHI(じらし)』

ずっとこの時を待っていた。何カ月も前から虎視眈々と、ず〜っとず〜っと考えていた「対LINE乗っ取り」用の戦法を……ついに試す時が来た!! 私の考案した究極奥義『JIRASHI(じらし)』が火を吹く瞬間が、ついに、ついにやってきたのだ!!

体全体を使って繰り出す JIRASHI。ズボンを脱いだのも、完璧な状態で JIRASHI を出すため。あらためて iTunesカードを用意したのも、すべては新技 JIRASHI のためだ。どんな技なのかは……まだ言えないが、早くみんなに『JIRASHI』を披露したい!
jirashi1

はやく……早く返事してくれ! でないと JIRASHIプレイが始まらないんだ! はやく……やらせろ……はやくっ……!! 一体なぜ返事しない!? というか……逆に私が JIRA されているッ……!! そうか! すでに……この戦いは始まっているのか!!

──とハァハァしながら iPhone を確認してみると、返事が来ていた。LINE乗っ取りからの返事ではなく、数分前に別のチャットツールを使って安宿さんに「乗っ取られてるよ!」と伝えた件への返信だった。するとそこには、LINEのキャプチャ画像と共に、

「連絡ありがとうございます。復活しました。デタラメの中国語で罵倒したら犯人泣いちゃいました(笑)」

hukkatsu2

──と書かれていた。私が出るまでもなく、すでに安宿さん本人がLINE乗っ取り犯をフルボッコにしていたのだ。わざわざコンビニで1万円分の iTunesカードを買ってヤル気マンマンだったのに、すでに相手は死んでいたのだ……。

ふと鏡に目をやると、悲しげな表情をしたステテコ姿の長髪じじいが iTunesカードを片手に佇んでいた。あまりのむなしさに、少しだけ泣いた。でも、流した涙は嘘つかない。この事件の3日後……まさかの “奇跡” が起こるのだから。<つづく

Report:迷惑メール評論家・GO羽鳥
Photo:RocketNews24.
こちらもどうぞ → 『GO羽鳥の【実録】迷惑メールシリーズ

▼Twitterで宣言した数分後には……


▼むなしかったけど記念写真とっといた
sutetekojijii