時々ムショーに食べたくなるものがある。それは近所のラーメンであったり、地元の定食であったり。私(記者)の場合はカレーライスである。実はカレーを食べる頻度はかなり高いのだが、そのなかでも、不意に食べたくなるのが、東京・新宿にある「けらら」のカレーだ。
ここのカレーには、心と身体を癒してくれる何かがある。派手さはない、むしろ地味である。しかし時々思い出したように、お店へと足が向くのである。お店の扉を開けるときに、「ただいま」という気持ちになるから不思議だ。
・アクセスはあまり良くない
お店はアクセスの良い場所にあるとは言えない。都営新宿線の新宿三丁目駅と曙橋駅のちょうど間辺りにあり、どちらの駅からも歩いて7~8分の距離にある。しかも大きな通りに面しておらず、ここにカレー屋があると知る人でなければお店を発見することができない。
・きれいに整頓された店内
私はこのお店を知人のすすめで知った。「分かりにくい場所にあるな」というのが、最初の感想だ。席はカウンター16席、店内を見渡すと、年代ものと思われるカメラがきれいに並べられている。整頓されている様子から店主は几帳面で、きれい好きという印象を受ける。きっといい仕事をするはずと想像した。
・カレーとライスの領分がくっきり
その予感は的中。オーダーしたビーフカレー炙りチーズトッピングは、カレーとライスがきれいに盛りつけられている。その2つの境目は、まるで定規でも当てたようにきっちりと線引きができているのである。ライスでできた土手も計ったように均一な高さで盛られている。その土手を壊すのがためらわれるほど、見事な盛り方だ。毎回オーダーする度に感心してしまう。
・野菜の旨みがしっかり
ここのカレーはルーが濃いすぎず、薄すぎない。ルーの水分が少ない金沢カレーと、水分たっぷりのスープカレーの中間といったところだろうか。サラサラとしているのだが、一口食べるとその感触を裏切るような味の濃さである。玉ねぎをベースとした野菜の甘みがしっかりと出ている。どうやら水も油も足すことなく、また小麦粉も使用していないために、サラサラとした滑らかな食感に仕上がっているようである。
・じわりとくる辛さ
ビーフカレーの辛さの度合いは「3」とメニューに表記されているのだが、強い辛さは感じない。食べているうちにジワリと汗がにじむのような、柔らかな辛みである。香辛料のバランスを整えて、次第にスパイシーになるように上手に組み合わせているようである。私は本来辛いものが得意ではないが、ここのカレーは抵抗なく食べることができる。身体の毛穴が開いて、腹の底が暖かくなる感覚が非常に心地いい。
・あげ玉がいい仕事する
卓上に目をやると、ちょっと変わったものが置かれている。トッピング用のあげ玉だ。カレーにあげ玉? うどんならわかるのだが、カレーにあげ玉を入れるというのは珍しい。ためしにあげ玉をかけて食べてみると、サラサラのルーのなかにサクサクとした食感が生まれて、味が立体的に感じられるようになった。これはおいしい! 味にバラエティが生まれるように、うまく組み立てられている。お店の味を知り尽くしているからこそ、うまれたアイディアではないだろうか。これは見事だ。
隠れた名店といっても過言ではない、カレーのお店けらら。一度行ったら、また思い出したように食べたいと思うに違いない。ちなみに食後のラッシーもクセになるぞ。
・今回紹介したお店の情報
店名:けらら (kalala)
住所:東京都新宿区富久町16-14 シティフラット富久町 102
営業時間:月~土曜日 11:30~20:00
定休日:日・祝日
Report:佐藤英典
Photo:Rocketnews24
▼カレーとライスの境目がクッキリ。まるで定規を当てたように、しっかりと分かれている
▼ビーフカレーに炙りチーズトッピング
▼野菜と肉の旨みが凝縮されたカレーにチーズのコク。食べ始めたら止まらない
▼卓上にはあげ玉
▼あげ玉を加えると、サクサクとした食感が病みつきになる