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2014年4月28日に無事に日本に帰国した荻田泰永氏。約50日の北極無補給単独徒歩の冒険を終えて、カナダから日本へと帰りついた。

帰国したばかりの荻田氏は、冒険と長距離移動の疲れで少しやつれたように見える。過酷な状況下で100kg超のソリを引いていたのだから、体調良好と言えどもやつれていて当然かもしれない。北極からピックアップされ陸地へと帰りついたのだが、しばらくは冒険の余韻が彼を苦しめることになりそうだ。Facebookに次のようにつづっている

・冒険終了後の荻田氏の様子について

「身体は究極的に疲労しているはずですが、神経が異常に昂ぶっているのか、寝ることができません。前回の北極点挑戦の後もそうだったのですが、寝ると、急に海氷状況が悪化して自分の周囲の氷が崩壊し始めるような錯覚を覚えてベッドから飛び起きたり、昨夜も何度も夜中に起きてはホテルの部屋の窓際から外を見て海氷状況を確認しようと目を凝らしている自分がいました」(荻田泰永Facebookより引用)

・急激な環境の変化

おそらくトロントから成田へのフライトでも、休むことはできなかったのではないだろうか。到着ロビーを抜けて出てきた彼の顔は、疲れすぎたためか強張って見えた。言葉にはいくぶん明るい調子があるものの、急激な環境の変化に適応し切れていない様子であった。関係者の話では、前回2012年のときも、やはり同じように日常になじむまで、少し時間がかかったそうである。

・「命はひとつ」を守り切った

今回の冒険は撤退という形で終わった。しかし無事に帰ってきてくれたことだけでも、成功のひとつと考えたい。命ある限り、次があるのだから。出国前に荻田氏の父は「命はひとつ」と繰り返し彼に言い聞かせていた。それを大事に守って帰ってきたことこそ、大きな意味がある。たとえ北極点に達しても、命を落としたのでは意味がないのだから。

まだ荻田泰永の冒険は途中なのかもしれない。ここから成功に向けて、また一歩一歩進んでいくことになるだろう。その準備が整う日まで、まずは身体を休めて欲しい。

参照元: 荻田泰永 Facebook
執筆: 佐藤英典
Photo: Rocketnews24