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博多ラーメンは大手チェーンの進出により、いまや全国でその味を楽しむことができる。当然ながら、本場で食べるのが一番おいしい。だが、それでも博多ラーメンと聞けば、どのようなものか大体は理解できるはずである。

名の知られた店の多くが関東・関西に向けて出店するなかで、「博多一幸舎」はアジアでの展開を積極的に行っている。特にインドネシアには6店舗構えており、日本での出店数に匹敵する勢い。とはいえ本場博多での評価も高く、博多に行ったら食べたいラーメンのひとつの数えられる。内外で支持されるラーメンとは一体どんなものなのだろうか?

・九州の麺が集結した「博多めん街道」

予備知識がなくても、九州のおいしい麺料理店をすぐに把握できる場所がある。それは、博多駅ビル内にある「博多めん街道」だ。ここに行けば、有名店が軒を連ねており、無駄に歩き回らなくてもおいしい店にたどり着くことができる。

・注文から出てくるのが早い

実は「博多一幸舎」は来客数ナンバー1を達成したことがあるそうだ。店前までくると何となく、その理由がわかる。他のお店に比べると活気がある。スタッフは皆元気で、大きな声で呼び込みを行っている。また客が来店してから席に着くまでの導線がスムーズで、表のスタッフが厨房へオーダーを通す様子も迅速で無駄がない。だから、注文の品が出てくるのも驚くほどスピーディなのだ。

・驚くべきスピード感

入口の券売機で一幸舎味玉ラーメンをオーダーすると、そのまま表のスタッフに促されて、カウンター席へ。このときすでに厨房にはオーダーが通っており、足元に荷物を置いて、お水を飲もうかなと思ったときには、すでにラーメンが出てきた。一息ついて待つか、そう思っていたのだが息つく暇もなかった。ちょっと急かされている感は否めないのだが、記者(私)は少々急いでいたので、このときは非常に有難かった。

・豚骨の匂いは控えめ

さて、早いだけでは意味がない。おいしくなければ、ゆっくり作れと言いたくなってしまう。まず匂いなのだが、豚骨スープであることに間違いないのだが、博多特有の強烈な豚骨臭さはなく、むしろ控えめなぐらいだ。獣(けもの)感に抵抗のある人でも、安心して食べられる匂いである。スープの色はやや茶色みを帯びている。地のもののしょう油を3種ブレンドしているとのことなので、そのしょう油の色が真っ白だったであろうスープに色をつけているのではないだろうか。

・まるで砂浜の足跡

そしてスープの味は、豚骨の力強いコクと旨みを感じる。どちらかと言えば濃い方のスープなのだが、くどさはない。奥深い旨みが、そこに足跡のように残って消える。

それはまるで砂浜に残った足跡のようだ。くっきりと形作られているのに、波にさらわれるようにして静かに引いて行くのである。チャーシューは波間に浮かぶ小舟、そして煮卵は存在感をさりげなく主張する岩である。これらが織り成す情景は永遠の波の揺蕩(たゆた)いにも似て、絶え間なく口のなかに「おいしさ」という名の感動を届けてくれた。

とにかく、博多に来て数軒のラーメン店を回ったのだが、記者はここのスープが一番好みの味だった。

・細平打ち麺の画策

おそらく、豚骨をベースに5種の魚介を使用しているとのことなので、味の奥深さはこれらの魚介から出ているものではないだろうか。主張しすぎない魚介は、豚骨の見事な引き立て役になっていると感じた。これに自家製の細平打ち麺。ただの細麺でも平打ち麺でもなく、食感にこだわり、スープにからみなおかつ伸びにくいという点で細平打ち麺になったそうだが、その画策は成功していると思われる。

・自立したブランドとして

スープによく絡んだ麺をすすり、その勢いのままパツパツと弾けるような歯ごたえを楽しむのは、食べていて心地よい。博多ラーメンかといわれると、もしかしたら少しだけ違うのかもしれない。だが、自立した味を持っており、ブランドとして形作られていることは間違いないのだ。ひょっとしたら、その創意工夫が海外でも支持される結果を生んだのかもしれない。海外での展開もさることながら、日本でももう少しお店を増やして頂きたいものだ。

・店舗情報 博多一幸舎 博多デイトス店

住所: 福岡県福岡市博多区博多駅中央街1-1 博多デイトス2F 博多めん街道内
営業時間: 11:00~23:00
定休日: 無休

Report:ちょい津田さん(佐藤)
Photo:Rocketnews24

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福岡県福岡市博多区博多駅中央街1-1