先日、中国共産機関紙『人民日報』でセンセーショナルなニュースが報じられた。その内容は「米国メディアが選ぶ2012年世界一セクシーな男は北朝鮮のキム・ジョンウン氏」というものだ。

秘密のベールに包まれた彼が世界一セクシーな男性に選ばれる!? 本当だったらかなり衝撃的だ。人民日報もジョンウン氏の写真を55枚も使用しわざわざ特集ページまで組み、世界中に配信した。

しかし、この「米国メディア」とは、風刺やパロディ記事で知られる『The Onion』。日本で言うところの『虚構新聞』のようなものだ。人民日報は盛大に釣られてしまった形である。

もちろん、同誌が「キム・ジョンウン氏を世界一セクシーな男性と選んだ」というのも風刺記事である。だが、人民日報はそれに気づかず真実として報道。The Onionの記載を引用し、

「ジョンウン氏は、人を窒息させるほどのイケメンぶり、丸々とした顔、四六時中放ちまくる男性的な魅力、強健な体つき、常人離れしたファッションセンス、完璧に計算しつくされたヘアスタイル、そしてあの人を酔わせる笑顔……説明するまでもなく彼は世界中の乙女が憧れる白馬の王子様だ」

と記述。そして、キム・ジョンウン氏のお宝写真55枚を厳選し、わざわざ特集ページを組んだという。ハンパない力の入れようである。そして、このニュースは人民日報各国版で報道された。しかし、すぐにパロディニュースを信じて報じてしまったことが発覚したのである。

この報道に中国ネットユーザーは

「クソ笑った」
「ああ、The Onionか」
「どうした人民日報(笑)」
「人民日報もついにユーモアを取り入れたか!」
「人民日報がThe Onionと提携したかと思ったわ」
「西洋のジョークは通じないらしい」
「ほら、久々の共産圏のいいニュースだから(笑)」
「ある意味人民日報が最大のパロディサイトだよな」
「恥ずかしいなぁ」
「外国にまで恥をさらしちゃったね」

などとコメント。

中国でも『The Onion』は知られているようで、多くのネットユーザーは、「一目見て人民日報が釣られたとわかった」との旨のコメントをしている。

だが、なかには「私は本当のニュースかと思って信じちゃった。世界の“セクシー”の基準に悩んでいたところだったよ」と、コメントするネットユーザーもおり、信じてしまった読者もいるようだ。

なお、人民日報では当該記事はすでに削除されてしまっている。だが、この報道はアメリカの大手メディアでも取り上げられ、『The Onion』にも伝わったそうだ。『The Onion』は「私たちOnion社の誇る共産党子会社『人民日報』はこちら」とリンクを貼り歓迎している様子である。

(文=沢井メグ
参照元:煎蛋(中国語)、The Onion(英語)

▼こちらの動画でお宝写真の一部が見られるぞ


▼巻頭特集である